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【完結】【挿絵あり】こじらせ・ぱらどっくす〜真面目で清楚じゃ、振り向いてくれないからギャルになってみた〜  作者: パスタ・スケカヤ
Ⅲ:Part of out side【雫花×彩編】

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P11 勇気をくれる君


 

 「落ち着けっ!ちゃんと聞くから!」

 

 「あんたはもう、私を女としてみていない!!!」

 

 「ハッ、ハッ、ハッ、」

 

 「澄。……大丈夫だ。おにいがいる。大丈夫だ。」

 

 夜中。何度もものが壊れる音が響いた。

 

 妹の過呼吸。

 

 父親の焦る声。

 

 母親の泣き叫ぶ声。

 

 暗い部屋の中、俺は強く澄を抱き寄せることしか出来なかった。

 

 ーーーーーー。

 

 そんなしばらく日々が続いた。

 

 だからか、妹は殻に閉じこもることを選択した。

 

 いつもアニメやラノベを楽しんでいた。

 

 唯一、心の平穏を取り戻せるのが、その時間だったのだろう。

 

 少しの時間だけでも、妹が救われたのなら、良かった。

 

 俺は自分が妹を救えたのだと言い聞かせた。

 

 アニメやラノベを勧めたのは俺だ。

 

 俺も中学に行くようになって、妹と居れる時間が少なくなっていたからだ。

 

 なにか、救えるものがないか必死に考えた結果だった。

 

 俺が女性だったのなら。

 

 妹にオシャレや友達と付き合う口実を作ってあげられたのかもしれない。

 

 ーーーーー。

 

 家での喧嘩は少なくなっていたが、母親は家にいることが少なくなっていた。

 

 たまに家に来ても不快な香水の匂いと、化粧の匂いでむせ返る。

 

 だれもタバコを吸っていないのに、体臭がタバコ臭かった。

 

 澄も中学生になり、俺は高校生。

 

 澄も心に落ち着きが見られ、修司と想を友達として家に連れてくることが増えた。

 

 父親は年々仕事で帰宅が遅くなっていた。

 

 毎日教えてくれていた武術の指導もしてくれない。

 

 家が代々受け継いできた技術だかで、門下生も沢山いたのに。

 

 家の破滅が近づいてきた気がした。

 

 俺はバイトを始めて、俺も家にいることが少なくなって行った。

 

 ーーーーーー。

 

 バイトは家庭に入るお金を考慮して学校側が承諾してくれるシステムだった。

 

 家はお金が無いわけではなかった。

 

 当然学校からは許可が降りなかったので、学校から離れたところで、アルバイトを行った。

 

 毎日電車往復に疲れていたが、家を澄を、支えるためには仕方ないと思った。

 

 そんな時だ。

 

 学校から一通のメールが届き俺は思わず2度見してしまった。

 

 アルバイト希望者へ。成績が一定水準で維持されることを条件にアルバイトを認める。

 

 とのメールだった。

 

 提言をしたのは『白雪雫花』。

 

 一般生徒の一声が学校のルールを変えた瞬間だった。

 

 何人もの生徒の署名と明確な必要理由を提示し、学校側に認めさせたと書いてあった。

 

 名前だけは聞いた事のあった生徒。

 

 俺のひとつ上の先輩で、成績も優秀、スポーツも抜群。

 

 オマケに美人と噂だ。

 

 あちこちで学校を良くするために積極的に動いていると話が入ってくる。

 

  もちろん、全てが通っている訳では無い。

 

 だが、俺は自分で学校やルールを変えようと動こうとはしなかった。

 

 いつもどこか、理不尽を嘆いて出来ることを探していた。

 

 家庭環境についてもそうだ。

 

 現状を受け入れて、出来ることをしていただけだった。

 

 変えようと新しいことを生み出すことはしなかった。

 

 どこか冷めた行動性に笑えてくる。

 

 「これが、本気か。」

 

 俺はスマホに表示された『白雪雫花』という名前を記憶した。

 

 ーーーーーーー。

 

 それから、数週間経ってシズと出会った。

 

 噂通りの美人で努力家で、誰よりも人に認められたい気持ちがあることを知った。

 

 だから俺はありったけの想いを込めてあなたに救われたということを伝えた。

 

 するとカノジョは赤面して照れたようにしていた。

 

 その表情の一つ一つが、素敵で、可愛らしいと思えた。

 

 人に好意なんて、向けたことなんてなかったのに、不思議とその時だけは慈しみを持てた。

 

 ーーーーーー。

 

 自分はどこか冷めていて現実主義なところがある。

 

 それなのに、シズを見ていると不思議と穏やかな気持ちになる。

 

 ーーーーーー。

 

 シズと仲良くなるのにそれほど時間は掛からなかった。

 

 というより、シズが俺に興味を持ったようで、よく話すようになっていった。

 

 学校では友達と呼べる人はいない。

 

 でも、シズとだけは普通に話せていた。

 

 ーーーーー。

 

 俺の発作が強くなったのは、あの日から。

 

 母親と父親は離婚することになり、俺と澄にどちらについて行くか選択を迫られる。

 

 明らかに男が出来たようで、雰囲気が変わった母親。

 

 いや。

 

 あれは。

 

 女だ。

 

 ただの女になった母親に嫌悪が止まらなかった。

 

 かなりの歳なのに露出した肌。

 

 濃い化粧。

 

 むせ返る無数の不快な匂い。

 

 全てが男に媚びを売るようで、気持ちが悪かった。

 

 「なによ、その目は。あなたも私と同じよ?だって『わたしの血』を継いでるんだもの。愛に飢えてる、愛を欲するのよ?」

 

 「なに意味のわからねえ事言ってやがる!父さんをここまで追い込んで、澄をずっと傷つけて!何が愛だよ!!!ふざけんな!!!!」

 

 「家族のままごとみたいな愛であなたは満足なの?違うでしょ。ほら、これ何かしら?」

 

 母親は俺の前に無数の写真をばらまく。

 

 そこには澄と修司が楽しそうに歩く様子。

 

 俺とシズが学校で過ごす様子。

 

 それが写真に収められていた。

 

 「なっ……調べたのか……?」

 

 『わたしの血』

 

 『愛に飢えてる』

 

 『異性に媚びを売る』

 

 刹那、俺の中で無自覚なオスとしての本能があったことを痛感させられる。

 

 俺もこの人と同じなのか?

 

 そう自分に問う。

 

 答えに否定は出来なかった。

 

 それを受け入れた時だ。

 

 全身に滾る不快な血に吐き気が湧き上がった。

 

 「うっ……!?」

 

 ーーーーーー。

 

 意識が朦朧としながらも、母親の元に行くのは断った。

 

 それを覚えている。

 

 そして、妹がいる、という一言で俺はあの日に、伊織の存在を知った。

 

 ーーーーーー。

 

 俺はそれ以来もう1人の妹が気掛かりで仕方なかった。

 

 しかし、澄もメンタルの不安定さがありどうしようもなかった。

 

 父親もより仕事に熱心になった。

 

 ーーーーーーー。

 

 そんな時だ。あの事件が起きたのは。

 

 大雨の日。

 

 結果、澄は何ともなかった。

 

 だが、きっと心に多くの傷を負ったに違いない。

 

 いくら俺と同じ武術を使えても、複数の男に襲われて怖くない人がどこにいる。

 

 友達だと思って接していた一人がイジメの主犯らしい。

 

 家のこともまだ整理が追いついていなかったろうに。

 

 俺はひたすらバイトと学校を往復毎日を過ごしていた。

 

 澄は元気な様子だが、当面学校には行けていない。

 

 「こおら!バカ、何かあったの?話しなさいよ!」

 

 「……え?」

 

 気がついた時、目の前にシズがいて困惑したのを覚えている。

 

 毎日が淡々としていた。

 

 景色が灰色で、なにも考えていなかった。

 

 それなのに彼女が目の前に現れた瞬間、世界は色付いた。

 

 ーーーーーーー。

 

 「私がモデルの仕事始めてそんなことになってるとはね。」

 

 どうしようもなくなって、話す人もいなくて、シズに全部ぶちまけた。

 

 家の散々な状態。

 

 澄の事件のこと。

 

 修司に向けてしまった怒り。

 

 想を巻き込んでしまったこと。

 

 「あんたは抱え込みすぎ。一人で何とかできる問題じゃないの。」

 

 「でもっ!俺が守らなきゃなんねーだろ!!!」

 

 「黙って聞きなさい。」

 

 手刀で頭を軽く叩かれてハッとする。

 

 「いってえ……」

 

 自分でもその時驚きを隠せなかった。

 

 全くの他人に俺は何を話してるんだ。

 

 それに相談に乗ってくれてるのに、俺は怒鳴ったのか?

 

 最低じゃないか。

 

 「ごめ……」

 

 刹那。ぎゅっと抱きしめられて、不思議と緊張の糸がほぐれて行く。

 

 「よく、頑張りました。今は休んだ方がいい。」

 

 「でも、バイト……」

 

 「はあ、バカね。……まったく。人は頑張りを見てくれているものよ?それを教えてくれたのはアンタよ。」

 

 「え……?」

 

 「電話してみなさい。」

 

 「あ、ああ。」

 

 ーーーーーー。

 

 言われた通り電話して休むことを伝えると、「いつも、ありがとね。とても働いてくれるから、助かるよ。学生なんだから、無理しなくていいんだからね。なんでも、相談してね。入ってくれただけで、ありがたいんだから。」

 

 バイトのおじちゃんが優しく休むことを了承してくれた。

 

 「なんで……?」

 

 「そのおじちゃん、怖くて有名なんでしょ?ふふ、でも頑張る子には甘々なんだとさ。そのおじちゃんの期待にあなたは応えてるってことじゃないの?」

 

 ーーーーーー。

 

 「はい次はここ。」

 

 「病院……?」

 

 「ウジウジ考えてないで、伝えてみなさい。」

 

 「……わかった。」

 

 病室に入ると包帯で腕と足をぐるぐる巻きにしている想が目に入る。

 

 あまりの重症度に絶望する。

 

 「す、すまない。俺のせいで……!」

 

 「おお、お兄さん!?いいですって!あの日天気悪かったっすから!それに俺がドジやっただけですって!」

 

 「だ、だが!選抜は!?」

 

 「俺の方から断ってやりましたよ。選手やってれば、骨折の一つや二つあんのにさ。さすがに契約は難しいって……退院しても強化練習には間に合うのにさ。だから、きにしないでください、もっといいとこ掴み取るんで!」

 

 「君は……強いな……。」

 

 「澄にはナイショですよ?お兄さんみたいに気にしちゃうんで。俺は変わらず、あいつを助けてやれれば、それでいいんです。」

 

 「わかった、約束しよう。」

 

 ーーーーーー。

 

 「ね、大丈夫だったでしょ?最後は修司ちゃんのところよ。」

 

 「ああ。頑張るよ。」

 

 「全く修司ちゃんには冷たいのね。」

 

 「想には比べたら、あいつは。」

 

 「修司ちゃんにも色んな思いがあるはずよ。それが分からないあなたでは無いでしょう?」

 

 きっと、修司に怒りを顕にしてしまうのは、あいつに期待をしすぎていたからだと思う。

 

 澄を暗闇から救ってくれた。

 

 俺が閉じ込めた世界から道を作ってくれて。

 

 あいつと出会ってから学校を楽しむようになった。

 

 だから、修司なら今回のことも避けられたと思った。

 

 だからこそ、『お前がいながら何故こんなことになっている』なんて言葉が出てしまったんだ。

 

 ーーーーーー。

 

 「澄は元気にしている。あの日はテンパってつよくあたった、本当に悪かった。」

 

 「いえ、僕は彩さんの言う通り……なにも出来ませんでした。……いじめを受けいたのを知っていたのにっ!!!助けられなかった!!!僕の力だけじゃ、足りなかった!!!!」

 

 「それは……俺も同じだよ。追い詰めたな……ごめん。」

 

 ーーーーーーー。

 

 「少しはスッキリした?」

 

 「ああ、ありがとうな。」

 

 「残るは澄ね。」

 

 

 ーーーーーー。

 

 「私なんかが、また戻っても2人を苦しめるだけです。」

 

 「なら、その面倒な女共を黙らせてやればいいのよ。女だって、負けっぱなしで黙っていてはダメ。根性見せるところよ!」

 

 「え、私でも可愛くなれるってことですか?」

 

 「当たり前よ!!!いじめっ子も黙らせて、修司ちゃんの心も鷲掴みよ!!!それにスポーツだってそこまで苦手じゃないでしょ?想だって、驚くプレーヤーになれるわ!」

 

 「は、はい!!!頑張ります!!!」

 

 俺はシズの行動力にも驚かされたが、1番驚いたのは心の傷を負ったのではなく、修司と想を傷つけたことを後悔していた澄だ。

 

 家の事でこころが壊れて、事件のことで傷ついていたのは俺だったようだ。

 

 今では、傷ついた心もシズによって治癒した。

 

 そして、1番心配だった澄も何とかなりそうだ。

 

 もう少し、澄のことを信じてやっても良かったのかもしれない。

 

 ーーーーーーーー。

 

 それから、澄はみるみるうちに美人になって行った。

 

 もともと家に男しかいなかったため、女性らしいことが身についていなかった。

 

 それだけの事だった。

 

 化粧や服装選び、身だしなみの整え方を教えて貰って、すぐに清楚系な女の子へと変貌した。

 

 それからというもの、女子虐められることも無く、むしろ修司と交際すべきは澄だと言われるようになったと言う。

 

 ーーーーーーーー。

 

 その後。

 

 適度にバイトと勉強をこなし、俺は名門春風の特待生として大学に通うことになった。

 

 「なんで、わたしと同じ学校じゃないのよ!」

 

 「ごめんて。」

 

 「ま、ようやく落ち着いてきたみたいで良かったけど。」

 

 「そうだね。そっちは青愛とモデル大変?」

 

 「暫くはね。」

 

 「今年はムズかったけど、来年。一緒に学園祭回ろうね。」

 

 「うん。」

 

 ーーーーー。

 

 俺の発作のことを気にかけて、適度に距離をとるようになったシズ。

 

 徐々に慣れるように俺に触れる機会を増やしてくれた。

 

 シズが心理系の学科に進んだのは恐らく俺の影響もあるのかもしれない。

 

 本人はもともとそういうことがしたかった、と言っていたが。

 

 ーーーーーー。

 

 それからというもの、月に何度か遊ぶ程度にはシズと関係は続いていた。

 

 澄も虐められることはなく、高校に進学。

 

 だが、父親は長年の過労が祟り、他界してしまった。

 

 大量の財産を残して。

 

 まるで、俺たちの生きる分のお金を残して、『死にに行ったように』

 

 俺はあの母親に父親は殺されたんだと思ってしまった。

 

 「あいか……あいか……」

 

 「父さん……」

 

 「伊織を……」

 

 「え?」

 

 「戸籍だ、そこから分かるはずだ。」

 

 「もう1人の妹……?」

 

 「お前はちゃんと、愛してやるんだ。」

 

 「……どこ行くの?」

 

 「……仕事だよ」

 

 「今日ぐらい休みなよ……」

 

 「……いってくる……」

 

 父親は、その日帰ってくることは無かった。

 

 遺言とも言える言葉を残して。

 

 ーーーーーー。

 

 「お父さんはよく頑張ったよね、おにい。」

 

 「ああ。……暗い人だったけど、母さんと俺たちのことは本気で想っていた。」

 

 「……そうだね。」

 

 ーーーーーーー。

 

 「こんな時期……だけどさ、一緒に学園祭回ろうよ。」

 

 「……え?」

 

 「ううん!行くべき!こういう時こそ、楽しまないと!!!」

 

 「……そう、だね。」

 

 ようやく落ち着いてきて、そして父親の他界。

 

 心に整理のつかない状況が続き落ち着かない。

 

 だが、それはひとつの事象に囚われてしまっているからだ。

 

 俺は差し伸べられた眩しいその手をとることにした。

 

 シズといる時だけが、俺は冷静でいれる。

 

 ーーーーーーー

 

 だが、その輝きは。

 

 色を変えた。

 

 ステージ上で賞賛を受けるシズ。

 

 眩しくて遠い。

 

 手を伸ばして、焦がれて。

 

 ああ、俺は。

 

 ーーーーーーー。

 

 「俺もシズのことが……好きだ。一緒にいたいと思う。……でも。」

 

 紅葉が散り、満開のシズの笑顔

 

 どれだけ彼女を待たせたのだろう。

 

 俺は、思っていることを吐き出す。

 

 「君を求める俺がいても……君に求められる俺が分からない。」

 

 「どうして、彩は私が好きなの?」

 

 「隣いて、心地がいい。一番普通でいられて、気楽なんだ。俺の知らないことを君は教えてくれる。前に進む力をくれる。そんな君のそばにいたいと思う。」

 

 「彩がそう思うように、私にもあなたを好きな理由はちゃんとあるよ。大っ好き。」

 

 不意に花の香りに包まれて、天にも昇る気持ちになる。

 

 柔らかくて、癒されて落ち着く。

 

 「でも、俺には君が……眩しいよ。手を伸ばしては、俺はその手を伸ばせずにいた……」

 

 やっと吐き出した想いに涙が止まらない。

 

 受け入れてもらえる喜びが、こんなにも救われる気持ちになるなんて。

 

 「恋ってさ、愛するってさ、訳分からないぐらい相手のことを想うことなんじゃないかな。与えるとかじゃなくて。」

 

 「え?」

 

 「だからね、わたしは何度も諦めて手を伸ばせないあなたのその手を、かならず握り返すの。」

 

 言いながらシズは俺の拳を開き、重ね握り返す。

 

 「ね?」

 

 「シズには敵わないな……」

 

 「さ、帰りましょ。今日から恋人同士……だね」

 

 天使のように笑う彼女。

 

 まだ俺は自分の中に有る血に不快感しかない。

 

 それでも、この天使に。

 

 いや、カノジョに癒してもらうことで。

 

 前に進める気がした。

 

 だって、今までもそうだったのだから。

 

 「ところで、俺の好きなところは教えてくれないの?」

 

 「ひ・み・つ!」

 

 「え〜!」

 

 「待たせた罰だね!」

 

 「……なら、たっぷり幸せにしてやらないとな。」

 

 「……期待してます。……いつか必ず話すから。今はまだ、恥ずかしい。」

 

 「人のことは言えないけど。……ゆっくり、交際……していきたい。」

 

 「うん!」

 

 俺とシズは手を握りあって、学園を後にした。

 

 どうやら、伝説は本当だったらしい。

 

 俺は学園祭も悪くないな、と長年の積み重ねた想いから解放されていた。

 

 まだ伊織のことも残ってる。

 

 俺の中のトラウマも治ったわけじゃない。

 

 それでも、少しばかり前を向いてもいい気がした。

 

 だって、いつも隣で微笑んでくれるシズがいるんだから。


挿絵(By みてみん)

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