1巻 妖師-アヤカシ-
15のガキなりにがんばってみました。
ここは東京都新宿区、今ここで二人の妖師-アヤカシ-が戦いに終止符を打とうとしていた。
「そんな・・・、こんな強いなんて。」
「諦めろよ~、玉出しなよ~。」
一方の妖師-アヤカシ-がもう一方にとどめを刺そうとした。が、
「悪いけど玉はあんたなんかに渡さないから!!」
死にかけていたもう一方が突然姿を消した。急に消えたので、一方の妖師-アヤカシ-は一瞬戸惑ったがすぐに冷静になった。
「ふふ~ん、そんなことしたってすぐバレるよ~。」
ここは新宿区西ノ山中学校、世間からは名門とされているすごい中学校だ。オレの名前は切裂時男、この西中の1年生だ。しかし今日はやけに騒がしい。
「おいおい聞いたか、ここに本物の天才が来るらしいぜ。」
「本物ってどーゆうことだよ?まあ、ここは天才が全国から集まってるみたいなトコあるが。」
近くの男子がぶつぶつ話していたが、確かにそうだ。西中は天才の集まりだ、ここに本物が来るということは・・・。そんなことを考えながら教室に入った。
「今日は皆に新しい仲間を紹介すんで~、入ってえな。」
この関西弁まるだしの女教師は赤井香苗。その声に呼ばれて、一人の女子が入ってきた。その容姿を見た瞬間、オレを含む男子全員釘付けになった。
「この度、この学校に転校してきた秋永千鶴です。よろしくお願いします。」
「うへへへ~。」
秋永のルックスは完璧だ!齢13にしてあのバスト、天使のような顔。あんな子他にいるものかぁぁ!
「ほんじゃあ、切裂の隣な。切裂ィ、いろいろ教えたれえ。」
いぃぃぃぃいっぃやったあたたたたたたぁあ!!こんなにも心で叫んだことはない!だがこの喜びは、一瞬にして恐怖へと変わった・・・。クラスの男子全員の殺意満々の眼差しがオレを襲う。
「まっずいぞぉぉぉ、オレの計画がパァにぃぃ。」
「どうかした?」
「なんでもないよ。」
とりあえず、皆がいない場所でデキていくしかないな。
放課後、オレは秋永に呼び出された。まさか!告られるのか!?
「ねえ、君って陰陽師?いや、そんな類の人?」
「は?」
秋永が訳のわからないことを聞いてきた。オレが陰陽師かその類の人間か?どっちでもねえよ。
「どっちでもねえよ、ただオレの家は古寺だけどな。」
「なんて名前?」
更にしつこく聞いてくる。こんなこと聞いて、どーすんだ?
「実座里寺ってんだが。って、なんで聞くんだよ。」
「君、親に何も聞かされてないの?実座理寺って日本最高峰の妖術使いの総本山じゃない!!」
なんで秋永がそんなこと知ってんだ、当のオレが知らないのに。確かに昔から人が多かったが、あれが全員妖術使いなんて。秋永は、ポケットから水色の玉を出した。
「君ならこれと、冥玉とシンクロできると思う。」
「まさかとは思うが、この玉をようは飲めと?」
うんと縦にふった。冗談じゃないぞ、こんな拳ぐらいのでかい玉を!でも秋永は焦っていた。
「早くっ!!」
その瞬間、窓が割れ一人の男が入ってきた。
「ふ~、とらえたぞ。」
そう言った瞬間男は、口から炎を吐き出した。その炎は、オレと秋永を包み込んでしまった。
「うわぁ、熱っ!!なんだこれ!?」
「ヤツはこのゲームの参加者、妖師-アヤカシ-よ!」
妖師-アヤカシ-。そういえば昔母さんにそいつと戦うために、ひとつ妖術を教えてもらったっけ。しかしこの熱さは異常だろ・・・。
「それ貸せ!んぐぉ・・・!!」
オレはヤケになって玉を飲んだ。すると、全身が青く光りだした。
「成功よ!玉とシンクロできたんだわ!!」
そっか、できたのか。でも使い方がわからない。とりあえず!
「水虎!!」
「うおわぁぁ!!」
オレが唱えたのは水虎という妖術だ。空気中の水分を凝縮させて、敵に放つ。妖術のなかじゃ格下の方だ。だが男は、すぐに立ち上がった。
「なんだなんだ、新たなプレイヤーかい?そんじゃその子とまとめて消してあげる~。」
男は腰の銃を、オレたちに向けた。コイツ、オレたちを殺すつもりだ・・・!
「逝っちゃいな~。」
銃声が校内に響く。
「ふふ~ん、死んだだろ~。・・・!?」
なんと!オレは生きている!!ピンピンしている、秋永はだいぶバテているけど・・・。
「追風成功!!」
「くぅぅぅっ!無理矢理術を使わせたなぁ!?」
そういえば、喰らう直前に後ろからいきなり押されて・・・。秋永がやったのか。
「ようし!とどめといこーか。」
「うっ・・・。」
水虎でメタクタにした。これでひとまず終わった。
「終わったな、でも今何時?」
「8時過ぎ・・・。」
オレは家に戻った。当然のごとく怒られた。
次回、秋永が参加していたゲームの全貌が明らかに!