第4話:そんな強度で大丈夫か
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ユニークスキル 村Lv1(0/5)
『村長権限』
村への侵入・居住と追放の許可権限を持つ。※村人を対象に、忠誠度の数値を任意で設定し自動で侵入・追放可能
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まずスキル名だが、村Lv1とある。何かの条件か熟練度により、スキルレベルが上昇していくと思われる。その隣にある数値が、スキルの熟練度を表している感じがする。スキルレベルの上昇に伴い、新たな能力や効果が解放されるとかだろうか。
次に『村長権限』という能力、侵入と追放の許可権限を持つとあるので、村の中と外を隔てる何かが存在する可能性が高い。居住の許可ってのは良くわからない。
忠誠うんぬんに関しては、そもそも村人がいないので確認できないが……。忠誠度の確認方法と、忠誠度を上げる方法は、なるべく早い段階で把握しておきたいところだ。
現状で予想できるのはこの程度だろうか。
「ふぅ、あとは家の外へ出てみないとだな」
一息ついたところで、腹が減っていたんだと思い出した。こんな状況になっても、普通に食欲はあるんだな、と素直に感心する。
「とりあえず、すぐダメになりそうな物から節約して食べとこ」
日が暮れるまでには外の状況も確認したい。賞味期限の近そうなパンと牛乳で、さっさと腹を満たした。
現在の時刻は16時、こちらの日照時間がわからないが、ガラス戸から見える外はまだ明るい。
(さて、少し……めちゃくちゃ怖いが外の状況を確認しよう)
ひとまず庭にある物置へ向かうことに――。何も持たないのは怖いので、物置から長さ1mくらいのバールを持ち出した。
◇◇◇
じっくりと20分くらいの時間をかけて、家の敷地だったと思われる範囲を一周した結果、三つの発見があった。
1.道路や隣の家との境界。そこにあったはずのブロック塀がなくなっていた
2.敷地の周囲は全て森に囲われ、植物は地球と似たような感じに見えた
3.歩測なので適当だが、家の中心から周囲に向かって半径10m、高さも同じくらいの、半球型で半透明な膜があった。この半透明な膜は、目を凝らすと少しだけ青白く見える感じだった。
この膜を便宜上『結界』と呼ぶことにする。家を起点として張られていることから、この結界の中が『村』という扱いなのだろう。
(随分と小さい村だけどな……)
たぶんこの結界の内と外が、侵入や追放の境界線になっているはず。問題となるのは結界の強度や耐久力。そして常時発動しているのか、地中にも効果があるのかだ。
試しに地面を削ってみると、結界はそのまま地中へと伸びている。あまり深くは掘ってないが……地中も含め、家を中心とした球体になっている。かもしれない。
あと、強度や耐久力に関しては全くわからなかった。バールで結界を突いてみたが、何の抵抗もなく、あっさり素通りしてしまった。結界の外に少しだけ身を乗り出し、外から小石を投げてみても結果は同じ、敷地内へすり抜けていった。
(えぇ……めっちゃ不安なんだけど)
こんなので外敵の侵入を防いでくれるのだろうか。ほかのことはさておいても、早く何らかの確証がほしい。
それからしばらくの間、思いつく限りの検証しているうちに、だんだんと辺りが薄暗くなって来た。結界の効力に不安はぬぐえないが、無いよりはマシだと結論づけ、家に戻ろうと歩き出したときだった――。
「……あの、すみません」
背後の森から、女性らしき声が聞こえた。




