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異世界村長【書籍発売中】  作者: 七城
第2部 『日本でも村長編』
220/252

第220話:ライブ配信スタート!


 村に戻って早々、主要メンバーを集めて今日の出来事を報告する。私の受けた印象を交えながら、ひとつずつ丁寧に説明していった。


・学生村長のスキルは、私と全然違っていたこと

・思想はさておき、わりと話せる相手だったこと

・女神の加護は持っているけど、交信自体はできないこと

・村人が増える気配はなさそうなこと

・お互い不干渉、好きなように行動すること


 話している最中、様々な質問、疑問のたぐいは挙がったけれど――最終的には『放置で問題ないだろう』という結論に至った。


「日本人を奴隷にする発想は……いえ、否定はしませんけど」

「わたしも椿ちゃんに同意かなー。忠誠度、絶対上がらないよね」


 椿と春香はまだ気になっているようだ。とはいえ、彼の行動自体を否定してるわけではない。あくまで村人を増やす方法論について語っているだけだ。


「まあ、私たちも似たようなもんだ。たまたま上手くいって、奴隷からもすぐ解放できたけど――」

「そうですね。獣人は良くて日本人はダメ。そんなこと言える立場にありませんよね」

「特大ブーメランになっちゃうもんねー」


 あ、それとネックレスの効果についても話したよ。黙ってるわけにはいかないからね。余計なことは一切言わずに、結論だけを淡々と語っておいたんだ。


 私が説明をしている最中、政樹さんを含め、ほかの男性陣も無言を貫き通していた。いまのところ怪しんでいる気配はない、と思いたい。

 

 そんな一方、村のほうでもいろいろあったみたいだ。先ほどから、椎名さんと柚乃さんのふたりがソワソワしている。あからさまに上機嫌なご様子だった。


(なるほど、さては異世界交流に成功したな? それを室長に話したくてウズウズしてる感じか)


 報告もすべて終わったことだし、今日はこれで解散にして切り上げることに――。


「政樹さん。そちらも打ち合わせがあるでしょうし、私たちはいったん席をはずしますよ」

「それはありがたいですが……この場をお借りしてもよろしいので?」

「一時的とはいえ村人ですからね。おふたりと気のすむまでどうぞ」

「あ、なるほどそういう……この様子だと長丁場になりそうです」

「はい、ごゆっくり」


 打ち合わせた内容は、《《すべて》》報告書に纏めてくれるらしい。村にも提出してくれるようなので、あとからじっくり拝見しようと思っている。



◇◇◇


<集団転移発動まで残り9か月>


 学生村長との面会から3日が経ち、村の開拓も少しずつだが順調に進んでいた。相変わらず、毎日たくさんの獣人が見学に訪れている。とくに何かがあるわけでもないし、結界の外にも出られないんだけどね。


 検問所には自衛隊が配備され、簡易のバリケードや、仮設のユニットハウスが設置されている。万全とはいかずとも、ある程度の抑止力にはなると思う。なにせ、村に来るための道路はたった1本しかないのだ。



 ――と、そんな状況の中、


 いよいよ今日からライブ配信を開始。


 これまでの編集動画とは違って、生の映像を流すことになる。ありのままを見てもらうことで、より親近感を、そして現実感を演出できれば最高だ。


 村の中心部には土魔法で作った見晴らし台を設置、村全体を映すための定点カメラを常設してある。もちろんそれとはべつに移動式カメラも用意した。


 撮影班の説明によれば、この2つの視点を切り替えながら、2画面編成で配信するらしい。


「村長、最終確認だけど……ホントになんでもアリなんだよね?」

「ああ、夏希たちに任せるよ。だけど、あのことだけは秘密だぞ」

「うん、それはもちろんわかってる」

「ならあとは好きに……常識の範囲で好きにやってくれ」

「おっけー、さっそく始めちゃうよー!」


 もう村の存在を隠す必要はなくなった。むしろ積極的に公開して、多くの人に興味を持ってもらいたい。


 当然、居場所を突き止めた取材陣、ネット配信者なんかも来るだろう。だが、唯一の交通経路には検閲所がある。山の方から入ってきたら、不法侵入で通報すればいい。きっとそれすらも話題になるはずだ。


(っと、もう配信が始まりそうだ。私も早くいかなければ――)


 チャンネルの待機所にはすでに何十万……どころじゃないな。恐ろしい数の人々が待ち構えている。コメントの流れが早すぎて読めそうにない。


(え、低速モードってなに? おっさん良くわからんのだけど……)



 司会の夏希がカメラの前に立ったところで、いよいよ配信がスタート。


 さすがにこれだけの大人数だ。夏希もさぞ緊張して――


「どもー、みんなのアイドル夏希だよー!」


 ないようだ。いきなりトンデモない挨拶をブチかましていた。


 いや、べつに否定してるわけじゃないんだ。ある程度の人気があれば、こういうノリも全然アリだと思っている。けど初配信でこれは完全にアウトだろ……。


 きっと画面の向こうはドン引き状態。いまごろ誹謗中傷コメントが殺到して――――なかった。むしろ大絶賛の嵐だった。「かわいい」だの「天使」だのと、好意的なコメントばかりが目に飛び込んでくる。


「樹里、武士、こんなことってあるのか?」

「うちの看板娘、夏希嬢ですからね」

「村長、動画見てないんすか? 夏希ちゃん、いまや超有名人っすよ」

「え、そうなの? でもなんで……」

「なんでもなにも……登録者3千万越えの超人気配信者だし。この反応は当然っしょ。あ、ちなみにオレもそこそこっすよ!」


 武士のことはどうでもいい。それより、ここまで有名になる理由がわからない。異世界の紹介動画、それのどこに夏希要素があるというのか。


 そう考えているとすぐに答えが――。


「最近、サブチャンネルでライブ配信をしてるんです。夏希ちゃんはクラフト配信を。武士くんは……なんかよくわかんないけどサムライ配信だっけ?」

「樹里さん、SAMURAIっすよ!」

「あー、そうだったっけ。とにかくそんな感じで、人気がグングン上がっていきましたよ。オマケで武士くんも……」

「マジかよ、全然知らなかった」


 と、こうして話している間にも、アイドル夏希のオープニングトークは続いていく。コメント欄もますます賑わっているようだった。


「――じゃあ、まずは我らが村長からひと言! 村長、出番だよー!」


 あ、そういえば……次は私の番だった。夏希のことに気をとられてスッカリ忘れていた。渡された台本を片手に、なんとかそれっぽい挨拶をして、今後の展開を説明していく――。


 この村が政府公認であること。いずれは村人を募集すること。異世界と行き来できることなんかも打ち明ける。


 今はコメントが見れないけど、たぶん相当な盛り上がりを見せているはずだ。一応、樹里からもVサインをもらったし……概ね好印象なんだと思う。


「村長おつかれさまです、なかなか良かったですよ」

「手汗がヤバいわ。めちゃくちゃ緊張した」

「コメントも荒れに荒れまくってます。やっぱり、異世界に行けるってのが相当効いたみたい」

「そうか、でも内容は言わないでくれよ。メンタルがやられる……」


 村の運営サイドとしては把握するべきなんだろうけど……今は無理だ。


 せめて椿を呼んでからにしよう。『安らぎの加護』を貰わないと……おっさんには耐えられそうにない。



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スキル:安らぎの加護Lv-

本人と指定対象1人の精神耐性が大幅に向上

※対象が離れている場合は無効

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