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異世界村長【書籍発売中】  作者: 七城
第1部 『異世界村長編』
189/252

第189話:異世界村長

「ところでみんな、日本がファンタジー世界になってたらどうするよ?」


 身内のことで微妙な空気になったので、思わずそんな話題を出してみることに。


 

 唐突に出した内容だったが、可能性がないわけでもない。私でも、やろうと思えばダンジョンを生成できるのだ。もうひとりの村長だって、似たようなことができても不思議はない。


 そんな注釈を入れながら、みんなの反応を待っていると――最初に反応したのは夏希と秋穂だった。


「日本で現代ファンタジーかぁ。やがて異世界と日本が融合して……みたいな展開もセットでついてきそうだよね」

「今の私たちなら、日本で無双できちゃうけど……あんまり意味ないよね。とくに助けたい人もいないし」

「魔物が氾濫して日本中がめちゃくちゃに……水道もない、電気もない、ネットも繋がらない。そこに颯爽と現れる異世界帰りの救世主。ん-、わたしもあんまりかなぁ」


 若いふたりにはいまいちの展開らしい。と、話が途切れたところで、今度は春香と桜が語りだす。


「まあでも、そのほうが村人に勧誘しやすいんじゃない? 魔道具とか魔法もあるわけだし……ね、桜ちゃん?」

「たしかに食糧支援と結界があれば、かなりの成果が得られそうですよね。そのぶん、暴動とか襲撃も多いでしょうけど」

「あー、でもそう考えるとさ。もうひとりの村長がもうやってるかもしれないねー」 

「なるほど……すでに頭角を現していると。協力した女神も含めて、力をつけているかもしれません」


(そうなんだよ。この前も思ったけど、魔物がいるいないに関係なく、村人を増やしているかもしれないし……これについても調べておきたいな)


「オレは村長の意見を推すかな。ダンジョンを作って管理してる気がする。わざわざ魔物を溢れさせるメリットがないし、自分も快適に過ごせないだろ?」


 さっきまでしおらしかった冬也だったが、やっと調子を取り戻したのか、そんなことを主張している。


「私も冬也と似た意見だけど、結局は溢れそうだよな。国が調査に入った結果、いろいろあって攻略しちゃうんじゃないかと思うんだ」

「ダンジョンを資源利用するってヤツか。たしかに、一般人が冒険者になるパターンもあるし、職業やスキルがなくても、レベルは上がるかもしれない」

「ああ、だいたいそんな感じだ。とはいえ、ダンジョンを生成できる前提の話だけどな。実際、それほど心配はしてないよ」


 自分で話題を振っておいてなんだが……たぶん転移前と何も変わってないだろう。まあ、どのケースだったとしても村には影響ないけどね。




◇◇◇


 長い朝食を切り上げ、そのあとみんなで荷造りに取り掛かった。『万能袋』にいろいろ詰め込んで、ようやく出発の準備が整う――。



「それじゃあ、ちょっと行ってくるよ」

「啓介さん、お気をつけて。早く帰ってきてくださいね」

「ああ、椿もこっちを頼むよ。最悪、3日経っても戻らなかったらみんなと助けに来てくれ」

「はい、必ず迎えにいきます……!」

「みんなもよろしくな。まあ、どうせ明日には帰って来るし、またいつもの異世界ファンタジーに戻れるはずだ」



 去り際にフラグを立てるな! なんて笑い声を耳にしながら、異界の門へとゆっくり進んでいくのだった――。


 


『日本にいる同志諸君』


『実は俺、異世界で村長やってるんだよね』


『今からそっちに行くので、ぜひ村人になってくれるとありがたい』


『一度しかない人生。どうせなら私たちと一緒に、異世界ファンタジーを満喫してみない?』




 ◆ 第一部:異世界編 完 ◆



 ここまでお付き合い下さりありがとうございました。これにて『第一部 異世界村長編』は完結となります。ひきつづき『第二部 日本でも村長編』をよろしくお願いします。


 みなさんの応援を励みに、ようやくここまでたどり着けましたことを心より感謝申し上げます。よろしければ、ブックマークと☆評価をしていただけると嬉しいです。


七城(nana_shiro)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第一部完おめでとうございます 引き続き第二部も楽しみにしています [一言] 世界も宇宙もその先も
[一言] あら、椿さん放置なの?
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