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異世界村長【書籍発売中】  作者: 七城
第1部 『異世界村長編』
157/252

第157話:賢者と剣聖


 朝一番、街にいた武士が貴重な情報を引っさげて登場した。ケーモスの街に現れた帝国軍は、領主館を占拠して今も続々と増えているらしい。


そんなおり、武士の提案による偵察作戦が開始されることになった。



<偵察部隊>

=============

村長:鑑定と念話基地局担当

香菜:隠密担当

ロア:会話傍受と土魔法担当

冬也:護衛担当

=============


 偵察班に選ばれたのはこの4名、今は各自の役割を再確認しているところだ。私が鑑定役となり、ロアが情報収集、冬也が護衛を務める。


『隠密』スキルを共有するには、発動中、香菜の体に触れていれば問題ない。接触しながら移動するので、人数的にはこれが適正だと判断する。



「香菜、絶対に無理はするなよ。何かあったらすぐに転移陣で戻れ、私たちのことは無視していい」

「はい、わかってます。レベル的にも足手まといですもんね。かばってもらったあげく、村長たちを死なせたくないですから」

「冬也とロアも無茶は禁止だぞ。あくまで情報収集が最優先だ」

「わかった」

「了解です」


 装備の点検を終えた私たちは、ほかの面子にあとを任せて領主館へと移動する。



 ――――


 転移を終えて視界が戻ると、今まで通りの対策室が目に映る。侵入された形跡もないので、結界も無事だということがわかった。

 すでに隠密スキルは発動中。話し声さえ聞かれなければ気づかれる心配はないはずだ。


 懸念していた探知系スキルについてだが――


 以前の検証で、結界の中まで届かないことを確認してある。村人が発動した場合は例外だが、もし探知スキルを使われても、結界の中にいる限りバレることはない。

 

『ロアは聴覚強化で会話の傍受を……椿へ全部伝えといてくれ。危険にまつわることだけ私と冬也にも頼むよ』


 ロアの返事を確認して、私を先頭に密集しながら移動を始める。すぐに入口まで行くと、天幕を少しだけめくって外の様子を覗き見た――。


(おいおいマジかよ……どう見ても万単位いるじゃねぇか……)


 とてつもなく広い庭園のはずだが、人が多すぎてよくわからない。破壊した門扉の外まで人、人、人で埋め尽くされている。

 今度は反対側を覗いてみると……なぜだろう、領主館のほうは思いのほかひと気がない。屋敷の周囲に何名かいるけど、あとはガラガラ、あきらかに密度が違った。


 そんな疑問を抱きつつ、屋敷の周囲を見ていたときだった。


 領主館の正面、この天幕との中間くらいの場所に魔法陣らしきものが展開されたのだ。


 その魔法陣はみるみるうちに広がり、やがて紫色の光が放たれると――何千という人が同時に出現した。その先頭には白いローブを纏った人物が……こいつだけ、ずいぶんと派手な格好をしている。


『ふたりとも……あの白いヤツ見えてるか』

『ああ、あのやたら目立つおっさんだろ?』

『私も気になりました。誰なんですか?』

『あいつが賢者だ。転移魔法のスキルを持ってるのもあいつだ』


 上位鑑定の結果でも、職業『賢者』としっかり表示されている。間違いなくアレが帝国の賢者だった。


 転移して来た集団はすぐに移動を開始、密集地帯のほうへと大荷物を担いで歩いていく。統率もとれているし、動きに一切の迷いがない。明らかに計画された行動なのだろう。


(賢者の転移は物資も送れるのか……)


『村長どうする? 今すぐ仕留めるのか?』

『……ああ、だがまずは様子を見よう。るとなったら俺が行くぞ。冬也は援護と後詰めを頼む』

『わかった。合図をくれたらすぐに――っておい、また誰か来たぞ。アレも幹部なんじゃないか?』


 集団が散らばった頃合いを見て、領主館から騎士? みたいなヤツが出てきた。なんでか知らんがまたおっさんだ。その騎士は豪華な鎧を着こんでおり、背中にはバカでかい両手剣を背負っている。


(すっげぇ……まさに聖戦士って感じだわ。てか、あいつが剣聖かよ)


 その剣聖は賢者に近寄っていき、なにやら話をし始めた。身振り手振りを合わせながら、お互い意見を交わしてる感じだ。その表情には余裕があり、ときおり笑みも見せている。


『もうひとりのヤツは剣聖だ。ロア、会話の内容を教えてくれるか。先に情報を拾っときたい』


 たぶん、殺るだけならいつでも可能だと思う。レベルはたしかに高いが……それはあくまで一般基準としてだ。ナナシ村の連中と比べれば1枚も2枚も落ちる。それに幹部ふたりの会話なんだ、重要案件とみていいだろう。


 そう判断した私は、冬也にそれを伝えてしばらく情報収集に徹する。




◇◇◇


『村長、これは……完全にアウトだよな?』

『ああ、いろんな意味で話を聞いといて良かったよ。あれは……いや、あいつだけは完全に敵だ、ここで必ず仕留めるぞ』


 賢者と剣聖のやりとりは、それから5分ほど続いていた。今はそれもおわり、賢者が転移していったところだった。


 細かい内容は端折るが、ふたりの会話をまとめるとこんな感じだ。


・計画の主旨は、ケーモス領を占拠して帝国民すべてを移住させること。既に大半はここに来ており、あと3回も往復すれば移動は完了する。 


・勇者は街の占拠に行ってるらしくここにはいない。なお、聖女の名前は出てこなかったので所在はわからない。


・占拠が完了次第、帝国領だった場所にオークを湧かせる段取りのようだ。何箇所攻略するのかは不明だが、「2日もあれば可能だ」と賢者は言っていた。これについては、私たちの知らない秘密がありそうだった。



 と、まあここまではいい。


 ――いや、良くはないけど、やらんとすべきことはわかる。両国に挟まれた場所よりも、ここの方が防衛し易いのだろう。なんにしても、色々考えた末の作戦なのは理解はできる。


 だがここから先は、絶対に見過ごせない内容だった。


 あいつら、ナナシ村にも手を出すつもりで来ている。二人の話しぶりだと、完全に賢者の独断っぽいんだけど……開拓地に転移するとハッキリ言っていたのだ。今は街の住民を集めて、開拓地に行ったことのある人を探しているようだ。


(マズいな。以前、門前払いしたヤツを見つけられたら……)


 さっき鑑定した賢者のステータス。その中にあった転移魔法の条件を見るに、ヘタすりゃ開拓地まで一気に攻めてこられる。もし何万の兵が転移してきたら……間違いなく犠牲が出てしまう。



 賢者だけは絶対に殺らなければ、そう覚悟を決めるおっさんだった。

 


===================


賢之助けんのすけ Lv70 42歳

職業:賢者

ユニークスキル:叡智の書Lv4

世界の理が記された書物を閲覧できる

※レベルにより閲覧可能な範囲が広がる

対象:魔物編、ダンジョン編、地理編、歴史編


スキル:転移魔法Lv4

自分が一度訪れた場所に一瞬で転移できる

他者の記憶をもとにその場所へと転移可能

※レベルにより集団転移可能な人数が増加


スキル:消費MP減少Lv2

※魔法使用時のMPが20%減少する

===================


聖治せいじ Lv73 44歳

職業:剣聖

ユニークスキル:聖剣術Lv4

剣の扱いに長け、威力が上昇する

※レベルにより効果が向上する

聖剣を召喚して自動追尾型の攻撃が可能

※召喚数8


スキル:身体強化Lv4

スキル:超回復 Lv3

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