十九歳の頃
一生懸命なにかをしていますか?
林檎を食べるのに三十分待って
卵焼きはいつも真っ黒
ご飯を炊けばおかゆになるし
洗い物をすれば必ず何かが壊れる
セーターを編むのに春に始めて
出来上がりは長いマフラー
洗濯をすれば赤いYシャツ
風呂を沸かせば必ず温泉風呂になる
いつもバンソコだらけの指先で
ぼくを燥いで案内して
いつも一生懸命の顔で
嬉しそうに笑っていた
土曜日には映画をレンタルして
ハンカチ用意して必ず大声で泣き出す
笑ったと思ったら泣き出して
泣いたカラスがまた笑う
哀しみはすべてくずかごに捨てて
何がそんなに可笑しいのか
どんな日にも笑っていた
雨上がりの優しい架け橋に
夕焼けに浮かぶシルエット
哀しみはすべてくずかごに捨てて
何がそんなに可笑しいのか
いつまでも笑っていた
そんな君が大好きだった
十九歳の頃
笑っている印象しかない、そんなこと言われたことがあります。私にとっては最高の誉め言葉です。ただ、一生懸命の笑顔ばかりでないことが多いのですが。いつも自然な笑顔で過ごせるように。世界のすべてが笑顔であふれるように。まずは自分から。