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実は俺が最強だった件  作者: はひ
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1話 『秘密が多すぎるんだよ』

 俺に頼みたいこと?

 俺に出来ることは誰にでも出来る、なんて卑屈じみたことはさらさら思わないが、いきなり自己紹介もせずに頼み事なんて図々しいとは思わないのだろうか。


「頼みたいことの前に状況と、あと自己紹介くらいはほしいんだけどな?」


「状況は説明してやってもいいが、自己紹介はそら無理ってやつだぜ兄ちゃん」

 

 人として当然のことを拒否された。

 この男には常識がないのか?まぁ自己紹介が叶わないのは俺にとって大した問題ではないし状況だけでも聞いておこう。


「じゃあ状況だけでも頼むよ、何しろ俺は自分の部屋の中にいたもんでなんでこんなボロっちい小屋にいるのか分からないんだ」


「お前さんを召喚したんだよ」


 召喚?いまこいつ召喚って言ったのか。ゲームじゃあるまいしこの日本に魔法は存在しねえんだぞ?

 ......とは思ったもののそれ以外に辻褄の合う説明などもはや無い。

 どうやら俺は本当に召喚されてしまったらしい。


「どうやって?と聞くのも野暮だな。この世界の状況的なものを教えてくれ」


「この世界では今魔王軍と戦ってるんだよ。お前の目的は魔王軍を征伐することにある」


「魔王軍と」

 

 ファンタジーみたいな世界観らしい。もっとも、みたいなではなく本当にそうなんだが。

 というかこいつ今さらっと俺への頼み事をあたかも義務のように語りやがった!やっぱこのおっさん常識ねえ!


「なんか頼み事っぽいものも聞いちゃった気がするんだけど」


「えぇ?そんなこと言ったかなぁ?まあいいや、頼み事もさっさと言っておくか」


 そもそも頼み事を頼む態度ってものくらいあるんじゃないのかなぁ......

 

「おっちゃんからの頼み事はな、お前さんに英雄養成学校に入学して英雄になって魔王軍を征伐してほしいんだよ」


「無理です」


 即答だ。確かに俺には多少はやればできる力くらいはあるのだろう。しかしなんだ?英雄?征伐?そんなものが出来るなら引きこもりになってなどいないのだ!


「まあまあそんな身構えるなよ兄ちゃん、この世界で言う英雄ってのはいわば将軍、前線のトップみたいなところさ」


 ......何も解決してない。


「というかそもそも英雄養成学校ってなんだよ、どうやって入学するんだよ。試験は?住民票とかなにもないんだよ?」


「そんなものはいらえねぇよ、おっちゃんが全部済ませておいたからな」


「どうやって!?」


「秘密」


 この男、秘密が多すぎる!そもそも引きこもりの俺が、この世界の常識が無い状態で何もやっていける気がしない! まず英雄養成学校とやらをドロップアウトしそうだ。


「でも今のお前さんにはこれしか道がない。衣食住はどうするんだい?英雄養成学校は全寮制だから不便はしねえ」


 こいつ......

 あたかも俺に選択を迫るように見せかけて本当は選択肢が一つしかないっていう周到な手段だ。

 考えてみれば今の俺は住所不定の無職である。

 生きるためにはこの頼み事(断れば死)を飲むしかない。


「分かった、その頼みを聞こう。それで俺はこれからどうすればいい?もう日は暮れているようだけど」


 日が暮れていることなどは窓から外を見れば容易に分かった。どうやら現実世界の日本とは時間のズレがあるようだ。


「話が早くて助かるぜ兄ちゃん、今から養成学校の制服を着てここを出てずっと東に向かってくれ。日の出までには間に合う」


「乗り物とかは......?」


「そんなものはない、少しは自分の体にムチ打つ経験も必要だろ?」


 失礼なやつめ、こんな引きこもりでも体を衰えさせないために色々やってきたのだ。


「分かったけど着いたらどうするんだよ、俺は右も左も分からないんだぜ?」


「着いたら守衛に養成学校の学生証を見せろ、それだけであとは守衛が何とかしてくれるさ。おっと、そろそろ出ないと間に合わないぜ?」


 おっさんからは説明してくれないのか。ひどく不親切だ。そもそも勝手に召喚されて頼み事を押し付けられた俺は怒ってもいいのではないか?


「大丈夫、元よりはいい暮らしができるさ」


 最後に言い放たれた一言は強く心に爪痕を残した。

 元よりはいい暮らしが出来る? この男が俺の何を知っている。知っているならなぜこんなことを頼む? 適当を言っているのではないのか。

 

 不快感を感じながら置いてあった制服を着て、俺は英雄養成学校とやらに旅立っていった。



一話にしては文量が少ないかもーとか思いながら一話を終わらせました。

眠いので次話は明日にしますが、これはあれですね、溜めてから投稿した方がいいやつですね!

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