ある日、お前の妹だと父が連れてきた半年違いの妹…。使用人に産ませたという彼女は私の大切なものをすべて奪いました
「仲良くしてお上げ」
私は優しい子だからお前は優しくできるよな? と父に念押しをされました。
母と離縁となった元凶にやさしくしろと言われて私は父の卑劣さに憤りました。
使用人と浮気して子供ができた娘を引き取りたいと父が言いだし、母が怒り離縁して実家に帰ってしまいました。
小さな弟が跡取りとして残されるのがかわいそうで家に私はのこりましたが。
私の腹違いの妹という子は金色の髪に金の瞳の美しい子でした。
どこか虚ろというか生気のない子でしたが…。
その様子をみて気の毒と思ってしまったのです。お母様も病でなくしたと聞きましたし。
しかし…。
エリアはいつもただ微笑んでいるだけでした。それがか弱げで男を引き付けるのか。エリアをめぐって使用人の男たちが争い死んだことすらありました。
私はできるだけ小さな弟のレオナルドを近づけないようにはしていましたが…。
レオナルドに窓越しに微笑んだエリア、レオナルドがそこからエリアのもとに通うようになり、まだ12才の弟もエリアの虜となったのです。
魔女と小さく呟くとそうかもしれませんねと頷くエリア。
よくわからない子としか言えません。女性はみな気持ち悪いとエリアを嫌いましたが男はすべて虜となりました。
「私はなにもしていませんわお姉さま」
虚ろな瞳で虚ろにほほえむんでエリア、私は彼女がただ恐ろしかった。
弟はエリアお姉ちゃんをいじめるな!とエリアを庇うようになったのです。
私は父に頼んで以前からあった婚約を進めてもらいました。もう弟もエリアの虜、父もでした。
早く家を出たかった。あれが恐ろしかったのです。
「お姉さまさようなら」
婚約者のもとへ向かう私にクスクスと笑いかけるエリア。
私は婚約者に家の者には会いたくないとお願いをしたのですが…。
「すまない、僕は真実の恋に落ちてしまった婚約は解消してほしい」
ええ、婚約者のレイルに聞いたところエリアに会ったそうです。そして一目で恋に落ちたと…。
「お姉さま、ごきげんよう」
唇に手をあてて笑うエリア、私は家に戻りエリアにあんたは魔女よ!と掴みかかりました。
「ええ私は魔女よお姉さま」
私はレオナルドがエリアお姉ちゃんをいじめるな!と庇うのを見ました。するとエリアがまた微笑みました。
「私はね、お母様の代わりなの、私はその日のパンのために男と寝たの、そして男たちはお母様の代わりとして私を毎日無理やり生け贄にしたのよ」
クスクスと笑うエリア、あまりにもそれは虚ろ過ぎる笑いでした。
「お姉さまがお幸せそうで腹が立ったのよ」
私はこの妹の真意がわかりかねて黙りこみました。
「男を落とす手管はお姉さまよりあったもの、うふふ」
私はエリアを黙ってみました。これは魔女ではない虚無だなにもかもどうでもいいと人を不幸にすることを喜ぶ人間だと。
「……」
私は黙って妹の前から去りました。罵るのも疲れたのです。
それにあれは破滅を求めているようでした。あれの最後が私はわかってしまったのです。
私は母を頼りに隣国へ行きました。そこで私は婚約し、結婚しました。
そしてあの魔女が男たちに刺され死んだのを聞いたのです。
あれの側にいると破滅に向かう…私はそれを恐れていました。
リーファル伯爵家はこの醜聞のため爵位をめしあげられました。父は行方知れず、母はまるで悪夢から覚めたようになった弟を引き取り、再会した弟はごめんなさいと私に泣きながら謝ったのです。
あれは魔女だったのか?それとも。いまになってはわかりませんが…。あれが私を憎んでいたと言った理由はたぶん…同じ娘でありながら私がその日にも困り男に体を売るような生活をしていなかったからかもしれません。
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