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最終章の予感 中編





 ✝帽子屋地下✝


 

 音が反響する階段。

 銀色の部屋へ。

 パイプや導線、壁に埋め込まれた機器。


 ゴーグルをした老人。

 壁のスイッチを握りしめた。


「本当にいいんだな?」


 うなずく少年。



 勢いよく降りるスイッチ。

 同時に

 電光

 青白く

 すさまじい量のエネルギーが出現。


 出産

 炸裂

 爆発

 少年は目を見開く。

 悲鳴を上げる。


 根底からの振動。

 再びの大地震。


 天へ突き上げられ

 地へ押し付けられ

 時空に亀裂

 時空が歪む。


 時空の再生

 時空の不完全

 時空のはざま

 傷口に

 迷いの森・・・



 少年は目を開ける・・・



 視界が違う。

 転んだマスターが目を見開く。



「僕・・・戻ったの?」



 期待を裏切る言葉。


「・・・・・・いや・・・」


 僕は自分の手を見て、

 全身を見て・・・


 全部が半透明だと気づいた。



 ショートして火花を散らす機械。

 煙を上げているのもある。


 台の上に黒焦げた何か・・・


「失敗だ・・・」


 僕はマスターと炭の塊を交互に見て、恐ろしい事実に気が付いた。


「コレ・・・・・・ぼく?」


 噴き上がる恐怖。


「僕死んじゃったのっ?」


「残念ながら・・・そのようだ・・・」


 僕はマスターと目を合わせる。

 その時、ふたつのことに気づく。


 ひとつは、僕が宙に浮いていること。


 ふたつめは―・・・


「僕のこと、見えてるの・・・?」


 マスターは無愛想に答えた。


「ケルビナーのおかげじゃよ」


「ケルビナー?」


「わしは元々、別の世界の住人じゃ。兵役訓練中に気絶して意識を数年なくしてから、異常に相性がいいそうだ・・・そのおかげで、長年死ねんのさ・・・」


「だから・・・引き剥がしたかったの?」


「そういうことだ・・・さっきの地震で機器が故障してしまったようだ・・・」


「地震?」


 はっ、とほほに手を当てる。


 再びの停電。

 人工呼吸のはずの彼―・・・


「塔はっ?父さんっっ」


 僕はそのまま天井を突きぬけ、一階の帽子屋へ。


 ソファに座っている姉さん。

 棚の帽子を弄っているウルフマン。


 体がないなら、誰にも見つからず塔に行けるはずだっ。


 僕は塔の方向へ急発進して、壁に激突した。

 痛くはないが、二倍の衝撃。


 開いた窓から出ようとして、空中にぶつかって跳ね返った。


「なんでっ・・・?」


「時空が歪んでいるのさ」


 僕は振り返る。

 ウルフマンと姉さんは驚愕。

 逆さのシルク・ハットから、チェシャ猫の首が生えていた。



「磁場の異常・・・どうやら君は閉じ込められたみたいだね?」


 チェシャ猫の目は、僕を見ていた。



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