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最終章の前触れ




 〈最終章の前触れ〉




 ・・・・・・・・・・・・暗闇・・・・





 死んだと思ったのに・・・



 暗闇・・・



 機械の作動音・・・



 消毒液のにおい・・・


 ・・・病院・・・?



 ああ・・・

 僕は・・・


 海で溺れて・・・


 ・・・・・・・・・・・・・それから・・・?


 僕は運ばれたのか。



 病院に?



 いや

 ヘルンに?


 いや・・・


 迷いの森の塔の地下に・・・



 僕の

 あの子は・・・


 いま・・・


 どこに・・・・・・?




 なぜ何も・・・


 見えないんだ・・・?



 起き上がる・・・



 チューブに繋がれた体・・・




 暗闇の正体。

 目隠しをされている・・・


 包帯だ・・・


 

 そうか・・・

 僕は・・・

 塔から落ちて・・・



 ああ・・・


 体中が、包帯だらけだ・・・








「やぁ」


 突然の気配。


 敵意

 殺気・・・

 なし・・・・・・



「チェシャ猫さん?」


「そう。ご機嫌いかが?ひしゃげ帽くん?」


「何とも言えないな・・・」


「じゃあ、元気の出るものを差し上げよう」


 チェシャ猫が僕の片手をとり、平べったいものをのせる。

 触る。


「本・・・?」


「そう」


「僕は失明したんじゃないの?それともあなたなりのジョーク?」


「いいや?この本は君の、新たなパートナーさ」


「パートナー?」


 なんだかなつかしい響き・・・


 表紙を指先で探るが、題名の刻印はない。

 

 新たな印刷法のやつか・・・



「題名は?」



「ない」


「ない?これは分厚いメモ帳か何か?」


「フフフ・・・ある意味正解。君達の物語をつむぐ、大事な大事な白紙の本だよ」


「白紙?」


「著者は君・・・もしくは―・・・」


 コツン、コツン。


 チェシャ猫の指先が、本をノックする音。


「〝君〟だ・・・」


 不敵な笑い。

 その気配。


「この本は、君の側を望んでいる。話してやるといい」


「・・・ティーは美味しかった?」


 チェシャ猫が笑う。


「信じるも信じないも自由だが・・・この本には魂が宿っている・・・誰のだと思う?」


「さぁ?」


「君の息子のさ」







―最終章の前触れ―


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