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十章・星空 04



 ✝新入り✝



 新入りのせいで

 私は死ねなかった・・・


 マイ・ヒタは

 それを予測していたに違いない。


 私と坊やの、不思議な生活の

 幕開け・・・


 暴動

 騒動

 忙殺

 新入りが私にくれたもの。


 坊や・・・

 何度、頭の中で首を絞めかけたか・・・。


 それなのに

 なぜか

 手放そうとは思わなかった。


 時々見せる彼の笑顔は

 テフに似て愛らしくて・・・

 不本意ながら

 顔がゆるんでしまう。


 坊や・・・

 まったく君は、大物だよ。


 

 私は彼に

 ハイネトの話をよくした。



 彼は頭がよくて、

 3歳で簡単な本を読んだ。


 状況判断が上手く、すこしマセた子供だった。


 私はそこも気にいっていた。



 しかし・・・

 限界だった・・・



 私は麻薬のバイヤーから、

 ジャンキーへと変わっていた・・・


 坊やがふと見せる

 彼の面影に・・・

 耐えられなくなっていた・・・




 ✝テル✝



 HEY、テル

 君はずるいぞ。


 突然あんな風に現れて

 私の心をかき乱して・・・


 それともアレは、

 私の願望が見せた幻覚かい?


 坊やを施設に入れて

 遠くの街に逃げた・・・

 もう坊やに会わないように・・・


 夜の世界でのし上がって、

 闇の世界にユア・ヒタがいることを知っていたけど、

 君には教えてやらなかった・・・


 君のことは

 再会する少し前から知ってたよ。

 手配書を見たからね。


 片目のテル?

 ずいぶんイカしたお名前で。


 久しぶりに見る君は、

 全然変わっているようには見えなくて・・・

 昔を思い出して・・・

 一晩中

 君の寝顔を見つめてた・・・


 役所にしょっぴかれて禁固刑。

 君のせいだよ・・・

 いや

 君のおかげだよ・・・

 禁断症状で死にそうなぐらい辛いけど、

 まだ死ねそうにない。


 皮肉だね。

 

 僕の口よりも。



 丈夫な木製格子。

 

 寄りかかる私。


 壁の小さな窓。


 縦縞のシルエット。


 藍色の空。

 

 小さく瞬く星。


 崩壊した月・・・



「ほんと世の中くだらない・・・」



 隣にマイ・ヒタ・・・


 その幻覚。

 

 おかしいな?

 最近は薬なんてしてないのに・・

 遅めの禁断症状?


 まぁ

 いいか・・・


 悪い気分じゃない。



 私は夜空に向かってひとり言を呟いた。




「HEY、テル・・・今度は君がおごりなよ・・・?」




 






 あの頃の私達は、みんな同じ方向に走ってった。


 あの時の私達は、それぞれの方向を模索しはじめて・・・


 この頃の私は、やっと未来ばかりを考えるよ。


 あの子の・・・


 坊やの未来を。


 まったく。


 大物だよ、あの子は。









―十章・星空―



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