十章・星空 02
✝テフ✝
妊娠発覚
予感していた事態。
複雑な気分。
回復してゆく彼女。
喜ばしい
ほほえましい。
ただ・・・
時々、
隣にいるのは私じゃないことに気づいてしまう・・・
私ではダメだと解っている。
彼の魅力も知っている。
彼が適任だと・・・
だから
湧いてくるのは嫉妬じゃないけど、
何だか少し
そう・・・
やるせなくて・・・
胸の奥がくちゅくちゅと・・・
致命傷ではないけれど、
治りの悪い、傷口みたいで・・・
いっそ殺してくれよ。
なんて・・・
誰にも言えなくて・・・
ただ彼女を心密かに思って、
切ない気持ちで
押しつぶされそうなのを
必死に
何も感じていないふりをして、
自分を
偽り続けていた・・・。
テフの相手、そう。
私がテルと呼んでいる彼がいなくなった時は、
ほんとに
複雑な気分だった・・・。
✝ケトゥ✝
テフが死んで、ひとり増えて・・・
わずかに浮上していたけど、
それ以上
持ち直すことはなかった。
またアトリエに引きこもり。
新入りを見ると、いつも複雑そうな顔をしていたっけ。
私は顔に出さないようにしていたけど。
バスタブの中で生まれた命。
病院で消えた彼女の命・・・
救急車を呼ぶかどうか、悩んでいた時間の後悔なのか・・・
決定は彼だったけど、
判断は全員。
誰も彼を責められない。
彼が死んだ。
窓から飛び降り・・・
予想範囲内の事態。
いつかは・・・
と、思っていた。
細い糸が
ふつりと切れた
イメージ・・・
胸に残る何か。
蓄積する何か。
例えようの無い気持ち。
私は、
この気持ちを例える言葉を
知らない・・・
マイ・ヒタからの手紙。
遺書だった・・・
予想、範囲外。




