ラプンツェル 《02》
「僕の旅は、ここで終わる・・・」
幾度となく名前を変えた。
今、ヘルン時代の本名を思い出したけど、
自分であまり気に入っていないことも思い出してしまった・・・。
銃口をターゲットに向ける。
教授は目をゆっくりと見開く。
僕は微笑。
少し嬉しくなる。
小さく舌を出した。
抜けない幼児性。
嫌いじゃ、ない。
誰にも理解されなくていい。
同情なんていらない。
分かって欲しいヤツらはもう、
すでに死亡中。
冷静?
躍動
悲観?
期待
希望
うしろ向きすぎて、
逆に前に突き抜けてる感じ。
恐怖?
皆無
虚無?
満タン。
バイクのエンジンをかけてるような?
そう。
あの時の気分。
バイクをぶっ飛ばした時の、
あの破壊的なほど
死へと疾走する生命力。
サイレンの音
赤い蝶みたいな光。
駆け抜ける風景
耳を打つ風の音、
皮膚がこそげそうな抵抗。
マイ・ヒタの歓声
両手を天に突き上げて。
全てに向かって雄たけび。
大声で
意味もなく。
〝お前、イカれてるぞっ〟
狂ってる。
そうっ。
どうかしてるよっ。
お前はっ。
最高の
最良のマイ・ヒタッ。
僕は不敵に、無邪気に笑った。
「僕の仮面を返すよ」
「何をっ・・・」
僕の銃。
銃口の先のターゲット。
ターゲットは僕。
僕のこめかみ。
引き金を引く。
同時に銃声。
耳の側でけたたましい大音量。
背中越しのガラスが割れる。
僕の体が傾く。
視界も傾く。
驚愕の顔をしている教授。
僕もびっくり。
まだ死んでない。
発射された銃弾、
突然の大地震。
軌道がずれる。
塔のガラス、
振動による大破。
空中に投げ出される僕の体。
スローモーション。
輝きながら舞い散るガラス。
白金の反射。
回転
飛散
開花
透明な花びら。
小さな宝石
うすく虹色の表面。
何千・・・
何万個もの鏡。
僕の分身。
僕の顔が何万個も
空中できらめきながらダンス。
冴え渡る青空
すさまじい開放感。
離れる銃。
ひしゃげ帽。
地面に叩きつけられる体。
衝撃。
鮮血
赤い無意識。
散らばるガラス。
刻まれた体。
横向きに倒れている僕。
まるで胎児・・・
痛み・・・?
いや
それにも勝る安らぎ。
体から溢れ、
流れ出す生暖かい血液が、
まるで生まれたばかりの羊水に
包まれていた頃のよう。
体を満遍なく痛ませている大地は、まるで母。
体のいたる所に突き刺さるガラスは、無垢な天使の祝福のキス・・・。
笑えてくる。




