九章・抱擁感 参
✝霊園✝
精神安定剤を飲む。
クナイの遺体。
霊園。
ロッカーみたいな共同墓地。
ケトゥが花輪をかける。
あなたは石の表面を
やさしく
やさしく
撫でた・・・
無言
悲痛
悲しみ
寂しさ
欠員。
喪失感。
ふたりに、
置いていかれたような気がした・・・。
私以外、みんな泣かなかった。
知らないうちに涙が出てた。
声を噛み殺す。
キムが肩を抱いてくれた。
強く抱きしめてくれた。
カーリーは花束を持ったまま立っている。
キムはうつむいたまま私を抱きしめている。
あなたはお墓をなで続け、
ケトゥは・・・
あなたのその指先を、
あなたが撫でているその指先を
呆然と見つめ続けていた・・・。
✝新しい隠れ家✝
ケトゥはふさぎこんだ。
あまり喋らなくなった。
アトリエにこもる。
交代で様子を見に行った。
カーリーは頻繁に。
「カーリーは彼が好きなんだよ」
そう言うとあなたは、
少し意外そうに瞬いたよね?
ヒタを亡くした者同士の、なぐさめあいだったのかな?
寂しくて
苦しくて・・・
ひとりは怖くて・・・
ハイネト以外は信用できない。
鬱々とした日常。
沈殿している何か。
不安物質・・・
平静を装う。
笑顔でいようと心がける。
日常をやりすごす。
つくろって、
つくろって・・・
修理して
どうしようもなくなる・・・
「子供・・・できたみたいなの・・・」
驚くあなた。
ベッドに座っている私。
お腹に触れるあなた。
「産みなよ。育てよう」
その日から、
私は少しだけ、強くなれた。




