同調 01
《思い出してきた?》
なにを?
《君を》
・・・・・・・〝僕〟を?
あなたは僕の
何を知っているの?
《何も?知っていると言えば知っているし、知らないと言えば知らない・・・》
・・・・・・・・・・・・
・・・・
ねぇ・・・
あなたは・・・
《なに?》
あなたは・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
僕に呪いをかけたひと?
《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呪い?》
あなたは僕に呪いをかけたひとなの??
《おかしなことを言うね・・・わたしは誰を呪ったこともないし、そもそも君は、誰にも呪われてなんかいない》
・・・・・・・・え?
《そろそろ限界なのかな・・・?》
限界?
なにが?
《君が》
僕が限界?
どういう意味?
《〝答え〟が欲しい?》
・・・ほしい。
ほしいよ。
答えが。
僕は誰なの?
あなたは誰なの?
どうしてここにいるの?
何のために??
《答えが欲しいなら・・・》
《さぁ・・・》
《次のページを開いて―・・・》
〈同調〉
✝エッグ・シェル✝
女装少年は服を整える。
深い深い、深呼吸。
呼び出し鈴を押す。
〈―・・・何かね?〉
卵男=ミスター・ロンリー・ウルフの声。
「あ・・・あの・・・ここに・・・」
緊張。
しかし、今の体に感情を現すことは難しい。
無表情。
無感動な声。
「こ、こ、ここに、お客さんが来てませんか?」
〈ああ・・・見慣れない客がいたが・・・〉
「いた?」
いる、じゃなくて?
〈先ほど出て行ったよ〉
「今は・・・どこに?」
〈塔に〉
「塔?」
少年は一瞬、ためらう。
丘の上から見える灰色の塔。
管理人に見つかったら・・・
姉さん達まで・・・
〈君は・・・プリンス・ページ?〉
バスケットの中身が、びくりと動いた。
「ありがとう。それじゃあ」
人形めいた少年は、白いローブをはためかせ、走り出した。
✝塔内部✝
管理室には僕と〝教授〟。
教授はふと、操作台のスイッチに手をかける。
僕は銃を引き抜く。
威嚇射撃。
床で弾ける。
冷静な教授。
「誤解するな。ゆっくりと話すためだ」
彼女の指がスイッチを押す。
ふ、と停電。
窓からの日光。
僕の背景は森。
「・・・何をしたんですか?」
「殻を剥くのさ」
「殻?」
「卵のね」
僕は彼女の思惑に気が付いた。
「・・・エッグ・シェル・・・」
✝エッグ・シェル✝
自室にいる卵男。
ドームの中のドームの中。
ブラック・ライトに照らされた水槽。
中の鮮やかな熱帯魚。
揺れる水草。
積まれた本を踏み台に、エサをやる。
指先から粉が落ちた瞬間―・・・
電力も落ちる。
「・・・・・・・・・」
自家発電で動くエレベーターの扉が開く。
出てきたのは、青年の姿をした卵男。
警戒している時の姿だ。
植物園を見渡す。
滝が止まっている。
卵男は出入り口の扉に近づく。
停電になると、開かなくなるはずだが―・・・。
「一波乱ありそうだ・・・」
卵男は外にいた。
深呼吸。
歩き出す。
ドアが砕かれている。
赤く染まった彼のこぶしが、再生していった・・・。




