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七章・激情 02




「クナイ・・・クナイッ」


 体をゆする。                                                

 混乱。

 混乱。

 恐怖。

 動揺。


 激情。


「クナイッッッッッッ」


 彼女への意識。

 敵への配慮不足。


 襲撃。

 突き刺さる。


 衝撃。

 間。

 激痛。

 体がのけぞる。


「あっ・・・・?」


 背後に敵。

 痛みを引き抜く。

 ナイフ。

 あふれ出る血。

 あふれ出る体温。

 あふれ出ていく生命。


 あふれ出る激情。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ」


 振り返りざま、ナイフを敵の首へ。

 切り裂かれるのど。


 他の敵が逃げる。

 追う。

 押し倒す。

 首のうしろを断絶。


 察知。

 避ける。

 発砲音の方を見る。

 スナイパーを発見。

 逃げる背中。

 道路の反対。

 ナイフを投げる。

 

 風を切り、肺の裏に命中。

 重傷。

 クナイの銃でとどめ。

 復讐。


 意識の混濁。


「おいっ」


 マイ・ヒタの声・・・

 走って来る。


「クナイっ?」


「・・・ごめん・・・」


 意識が遠のく。

 視界がせばまる。

 よろめく。

 マイ・ヒタの腕が包み込んでくれる。


「何があったんだよっ?」


襲撃(てき)かっ?」


 誰かの足音。


「ケトゥ・・・分からない。ふたりとも負傷しているっ」


 意識が―・・・


 クナイの側の、ケトゥの気配。


「死んでる・・・」


「そんなっ・・・クナイっ。おい、何があったんだよっ?」


 揺さぶられる肩。


「ゆするな」


 ケトゥの応急処置。

 傷口の圧迫。


「一体何が―」


 いつの間にか呼ばれている救急車。

 パトカーのサイレン。 


「まずいっ・・・行くぞっ」

「えっ?何言ってんだよっ?」

「捕まるわけにはいかない」

「そんなっ・・・こいつはっ?」

「我々が治療できるレベルじゃない。行くぞ」


 近づくサイレン。


「行くぞっ」


 ケトゥがマイ・ヒタの腕を引っ張る気配。

 すでに視界はない。

 離れていく感触。

 体温。


「絶対迎えに来るからなっっ」


 マイ・ヒタの、最後の言葉。


「死ぬなよっ」


 最後の日。

 別れの日。

 俺の逃亡の日々のはじまり。


 罪の意識からの、

 団体の意識からの、

 日常からの、

 自分からの、

 逃亡。


 裏の社会へ。

 夜の世界へ。

 闇の領地へ―・・・








 あの頃の俺は、色んなもんと葛藤してた。

 あの頃の俺は、全てを壊したい衝動でいっぱいだった。

 あの頃の俺は、全てが敵だと、思いたかったんだ。

 あの頃の俺は・・・どうしようもなく、バカだった・・・


 あの頃の俺達は生きるのに必死だった。

 生きることに、理由なんて必要なかった。


 最近はお前達のことばかりを思い出す。


 あの頃に戻りたい。

 お前達と生きていた、あの頃に―・・・ 





―七章・激情―








《何か気づいた?》






 これは―・・・





 一番最初の話だっ。

 そうだっ。


 最初は『木陰モア』じゃなくてっ・・・




 ・・・・・・・

 ・・・・

 ・・


《どうかした?》



 

 君は・・・

     誰なの?




《思い出して》




 僕は君を知っていて、君は僕を知っている・・・?




《次の物語を呼んで》


         呼ぶ?







《さぁ・・・おとぎの世界・・・不思議の世界を、とくと ご賞味あれ・・・》 




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