クレイジー・ハッター・マスター
〈クレイジー・ハッター・マスター〉
長方形のテーブル。
純白のテーブルクロス。
新たなお客。
色とりどりの
花の着席。
「紹介がまだでしたわね」
当然、上座に座ったプリンセス・赤ずきん。
「こちらから・・・」
一番近く、右隣を示す。
知的そうな女。
オレンジ髪。
「アンナ・マリーゴールド」
彼女が会釈。
左隣を示す。
黒肌、白髪。
めりはりのある体。
緑色の目。
「メアリィ・クローバー」
彼女が口元を上げる。
マリー・ゴールドの隣。
髪の根元が金、表面は紫染めの、白肌。
アメジスト色の瞳。
「アンジェラ・パンジー」
なるほど。
みんな花の愛称がついているらしい。
クロバーの横。
ロングスカートのミステリアス系。
金の長髪、黒目。
「リリー・リリー」
パンジーの横。
栗色の天然癖毛、ショートヘア。
栗色の瞳。
清楚なイメージ。
「マリア・マーガレット」
リリーの隣。
男装の麗人。
斜めの山高帽。
赤い口紅。
「プリシナ・チューリップ」
「ハァイ」
六人の花。
「そしてわたくしがローズ、ですわ」
訂正。
七人の花たち。
「どちらかと言うと、〝つぼみ〟だね」
ウルフマン。
ほろ酔い気味で、目がとろけてきている。
プリンセス。
心外そうに。
「子供だと言いたいんですの?」
フォロー。
「きっと、これからが楽しみだ、ってことですよ。プリンセス・ローズ」
「ああ・・・ありがとう。ミスター・・・まだお名前をうかがっておりませんわね?」
「失礼を・・・わたしは―・・・・・・わたしのことはどうか、アイビーとお呼び下さい」
「アイビー?あの壁に這っているツル草のことね?なぜですの?」
「『誰かを頼りたい』のです」
数人の微笑。
ウルフマンはテーブルに寝転ぶ。
気持ちよさげ。
「じゃあ俺は牡丹と呼んでね」
プリンセス。
「なぜ?」
「ふふ・・・かっこいいから」
「もうっ。面白くないわ。ちゃんと理由を教えて」
「お茶が入りましたよ」
バニーが入れたての紅茶を七つ、運んで来る。
「ありがとう。グランマ」
「どういたしまして」
「そう言えば、最近店主を見かけないわ。お加減が悪いんですの?」
「いえ、いえ。何やら趣味に夢中のようで」
僕「帽子作り?」
「もうひとつの方だろ・・・」
マタタビに猫のウルフマン。
「脳神経と精神の研究・・・俺と〝卵男〟のためにねぇぇぇ・・・」
僕「エッグ・マン?」
「ためになるかもしれない研究、でしょ?」
バニー、ウルフマンの足を叩く。
「お行儀悪いよ」
「アハハ。そぉりぃぃ」
バニーはお菓子を僕にすすめる。
体力回復アイテムGET。
「『帽子屋』と言っても、帽子を作ってたわけじゃないんだ。帽子の中に茶葉や魔法の粉を入れて売ってたのが通り名の由来さ」
僕「なるほど・・・」
「まぁ、のちに帽子作りも趣味になるんだけどね」
「ウィッチ・クラフト・パウダー?ほうきで空を飛べるようになるの?」
無垢な赤ずきん。
「ほうきなんていらないわよ~。アハハ」
ウルフマン、寝返り。
ローズに葉巻めいたものを示す。
「いかが?」
バニーがウルフマンの手を遮る。
「葉巻(はまだ早い。紅茶のおともは砂糖だよ」
―マッド・ハッター・マスター―




