ローズ・ガーデン 01
〈ローズ・ガーデン〉
思い返してみると・・・
俺の人生はとても、
特殊だった。
茨の道と言っていい。
いま
ほんとに俺の側には
バラが
咲いているのだから
お笑いぐさだ。
俺は・・・
いま・・・
何歳だ?
解らない。
あれから
どれぐらいたったのか・・・
やべぇ。
走馬灯が
走ってやがる・・・
昔の話を
はじめるのは、
年をとった証拠らしいけど・・・
あんたは聞いてくれるかい?
俺のはなし。
そうか・・・
ふふ・・・
俺は
あんたと別れた
あと、
孤児院に入れられた。
温かいメシ・・・・・・
寝床。
それだけで俺は、
満足だった。
その孤児院は
教会関係で、
世話を
してくれたのは、
数人の
シスターだった。
俺は
子供の中で
真ん中ぐらいの
年で・・・
義理の
きょうだいが
上にも下にも
できた。
そこには
変わった
シスターが
ひとりいて、
俺の
初恋
の
ひと
だった・・・
背が
小さくて
子供の中にいると
修道服 でしか
見分けられない
ぐらい
童顔で・・・
笑顔がかわいかった・・・。
その修道院には
大きな
中庭があって、
噴水があった。
晴れの日で、
俺たちは
中庭で遊んでて、
少し
目を
離してる時に 一番小さい 弟が
噴水にのぼって、
すべって転んで、
おぼれそうに
なって・・・
そのシスターは
風のように 現れて、
噴水に飛び込んで、
弟を
抱き上げ、
少し怒ったあと、
笑った。
そのしぶきに濡れた横顔が、今も 忘れられない・・・
十代半ば。
修道院を
出ることになった。
周辺地区で 病気が
流行って、
政府の健康診断 ボランティアが
来て、
検査がおこなわれた・・・
俺は
検査にひっかかって、
精密検査のために
移動・・・・・・
病院ではない、
白い壁の施設へ。
〝実験体〟として、
監禁・管理
されることと
なった・・・
俺の遺伝子は すこし
変わっていたらしい・・・
毎日、毎日
実験、実験。
意味も分からず、『番号』で呼ばれ、
俺は 人間ではなく、
〝心〟のある人形に
なった・・・・・・
その施設に、いつまでいたか
分からない・・・・・・
ある日。
実験体達と
〝はだか〟にされ、
おおぜいの客の前で
オークションが
おこなわれた。
金持ちに気に入られ、
買われ、
施設を出た・・・・・・。
最新の高級車。
豪邸。
庭園。
バラ。
新品の、一流服。
高級料理。
パーティー。
教育? 調教。
新しい名前。
飼い主の相手・・・
〝心〟すらない人形に、
俺は
なりはてた・・・
『家』からは出られない。
高い壁。
アンドロイドの使用人。
飼い主の留守。
解放・・・?
無人・・・
孤独・・・
監視
無視
ローズ・ガーデンを散歩。
淡い色。
うすいピンク。
うすいオレンジ。
うすい黄色。
白。
若い緑の葉。
ひだまり。
青い空。
小鳥のさえずり。
迷路みたいな庭。
迷う。
出会う。
彼女と。
満天のバラの中で。
垣根とツルの
トンネルの先に ドーム。
真ん中には・・・
巨大な
鳥カゴ。
中に女。
スレンダー美女。
ロング・ヘアー。
可憐な声。




