四章・閉塞感02
アナス=鼻をすする。
平静を装う。
目が赤い。
「それで・・・わたしらはこれからどこに行くのさ?」
クナイ「〝外〟だ」
マイ・ヒタ「外の、どこ」
「分からない・・・」
クナイは手の甲で涙をぬぐった。
「私達の居場所はもうどこにもない。頼れる所もない」
カーリー「これは誰が運転している?」
クナイ「自動運転だ。〝教授〟が設定し、目的地につけば消滅する。そこからは徒歩だ」
キム「目的地?」
ケトゥ「海岸らしい。到着予定時刻は午前4時」
僕「それからの予定は?」
クナイ「みんなで決める」
複数『みんな?』
クナイ「みんなで、だ」
テフ「〝みんな〟・・・」
新鮮な響きだった。
「海岸についたら、みんなで決めよう」
ケトゥ「俺はリーダーに従う」
キム「同じに」
カーリー、うなずく。
アナス「賛成」
テフ「わたしも」
僕はヒタを見た。
目が合う。
アイコンタクト。
イタズラっぽい目。
きっと、僕も。
微笑。
ヒタと、拳同士を付き合わせる。
天井に向かってかかげ、リーダーに歯を見せる。
同時に「「賛成っ」」
クナイの驚き。
そして、微笑。
数人の笑顔と、
数人の失笑。
☨海岸☨
切り立った崖。
岩肌にぶつかる波。
黒い海。
広大な闇・・・。
全てを飲み込みそうな闇。
落ちるトラック。
空中で爆発。
轟音。
オレンジ色の火花の乱舞。
白い煙の花粉。
水柱。
消滅・・・
潮の香り。
〝外〟の匂い。
冷たい風。
人通りのない風景。
遠くの街灯。
近くの闇。
8人の人影・・・。
複雑な気分。
期待と不安。
静と動。
静けさを取り戻す海。
白金に潤む表面。
二度とない一瞬の反射を、
永久に繰り返す光。
全てが生まれたと言われている場所。
僕たちが、
二度目に生まれた場所。
生まれ変わった場所。
僕たちは無言。
立ち尽くしている。
空が白む。
藍色。
灰色。
クリーム色。
水色。
茜。
オレンジ・・・
夜明け。
全員で泣いた。
僕たちの産声だった・・・。
僕たちはその時、
自分で自分を、
出産した。
あの日の僕たちは、
平坦な日常と
寿命までの予定表を失い、
自我と、
余白だらけの舞台の台本を・・・
手に入れたんだよね。
―四章・閉塞感―
『自我』と
『自己』の確立・・・
僕は誰なんだろう?
まぁ、考えてもしかたないんだけどさ・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・あ。
きたきた。
次の物語は・・・・・・
声・・・・・・
誰かの、声が聞こえる・・・・・・・・・




