パズル
〈パズル〉
Dear
My Hita
――――――
〝画家〟が死んだ。
自殺だった。
久しぶりに会いに行って、ドアを開けたら・・・
彼が飛び立つ瞬間だった。
・・・・いいや。
本当は長い間、わたしは彼の背中を見つめていたのかもしれない。
彼を止められなかった。
止めようとも思わなかった。
止める必要もなかった・・・
わたしが彼なら、止めて欲しくないから。
そして今からわたしがすることも、誰も止めないで欲しい。
これはわたしの〝意思〟だ。
誰にも理解できない。
されたくもない。
しかしあなたは、すでに理解しているのだろうね。
わたしが
彼に会いに行く理由を。
From
Your Hita
――――――
穏やかなひなたに浮かぶ
彼の横顔
粉雪めいた白が舞う
蜜色の光
足元にさす
確かな薄闇
りんかくはおぼろに
痛みはそぞろに淡く・・・
甘やかな顔は口元をあげて
遠くなつかしく
彼女を見ている・・・
窓の向こうに広がる無限
両手を広げた君は
自由を求める鳥のようで・・・
絵の具のついた指先で
一体何を描けばいいのか。
誰も
教えてはくれない・・・
背中の見えざる両翼は
くすぶりを見せ
「 飛びたて 」
と ささやく
開け放たれた自由への扉
肌をなでるやわらかな風は
彼女の吐息・・・?
ほほを伝うしずくは・・・
誰のもの?
足元に残る靴跡
爪先立ちの気配
ゆるやかな時の流れに
瞳を閉じて・・・
大空を知らぬ鳥カゴの僕は、
儚く切ない夢を見た
まぶたの裏に消えやらぬ
さやか姿・・・
生まれた意味を問う
君に
生きる価値を持つ
君に
時計の針は終わりを告げ、
赤く染まりゆく小羽は、
宙できらめく
あきなく
果てしなく
君を思うよ・・・
安らぎに満ちたこの胸を
君に
せいいっぱい広げたこの腕を、
君に捧げよう。
四角くふちどられた光と闇
やがて殻を脱ぐ・・・
透明な蝶
か細い吐息をさらう風は
高く
高く・・・
全てが溶けた空は
きれいだね
鐘の音の迎え
白き扉に帰る僕
窓辺に残る
束縛だけを置いて・・・
―パズル―
これは・・・
『遺書』・・・?
これは・・・
・・・・・・・・
あっ・・・・
もう、
次の物語がっ・・・




