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クレイジー・ティー・パーティー


〈クレイジー・ティー・パーティー〉



「君には弟がいるの?」


「そ。時々ここに、視察に来る。女王様が姫様のお見舞いに来る時だけ、面会できるんだ」


「女王様?」


「弟は王宮に仕える小姓なんだよ。顔がいいから、女王様のお気に入り」


「・・・本当の王宮?」

「ニセモノがあるの?」

「いや・・・」

  

「じゃあ・・・赤髪の姫は・・・本物のプリンセス?」

「もちろん。会ったんだね?」

「ああ・・・」


 本物?そうだとすれば、なぜ本物が森に・・・?


「姫は精神を病んでいてね。ここで心を休めているんだよ」


 心を読んだかのようなバニーの言葉。


 白い肌に黒髪、白のウサギ耳。

 黒い燕尾服、白いミニスカート。

 白黒縞模様のニーハイソックス。

 白い綿毛の付いた黒のハイヒール。


「彼女のそばにいたのは・・・召使い達だったのか・・・」


「そう。美人ばっかりだけど、みんな剣や銃をたしなんでる。通称ローズ・ソルジャーズ」


「その名の通り、無闇に触るとケガをしかねない・・・」


 狼男は不適な笑いを浮かべ、お茶を飲む。


「だから魅力的でもあるんだけどね」


 バニー。


「彼女達のトゲは強力だよ」


「王宮に仕えている、ってことは・・・王様に許しをいただかないと大変なことになるね」


 僕もお茶を飲む。

 今までで一番、

「おいしい」


「ありがとう」


 バニーは少年のような、中性的な笑みを浮かべた。


「この森でしか手に入らない、最高級の茶葉だよ。ウルフマンからの差し入れさ」


 狼男の笑み。

 白い八重歯がのぞく。


「ここは王宮じゃない。少しぐらい〝おこぼれ〟にあずかっても、王様の目には届かないのよ」


 狼と言うより、ハイエナのイメージ。


「君達はここに住んでいるんだよね?帽子屋なんて・・・失礼だけど、なりたっているの?」


 バニー&ウルフの、意味深な笑み。


「本当にお客じゃないのね?」

「どうやってこの森に?」


 謎の

 罪悪感。


「・・・・・・・・・」


 顔を俯ける。


「分からないんだ・・・気づいたらここにいた・・・」


 二人は顔を見合わせる。


「相当な重傷者?」

「もしくは迷子?」

「まさか。出入り口は一つしかないはずよ」


 顔を上げる。


「それはどこに?」


 二人同時に。


『さぁ?』


「僕が入って来た時は気絶してたから・・・」


 バニーが片耳の先を引っ張ると、バネのようにしなった。


「俺は〝目隠し〟ね」


 狼男は片手で顔を隠す。

 突然開いた指の隙間から、イタズラ好きっぽい薄茶色の瞳がのぞく。


「ここに来る者はみんな、何かしらに迷ってる。悩んでる。困ってる・・・俺もね・・・」


 困惑。


「ここは・・・なんなんだ?」


 バニーが答える。


「迷いの森。王宮の所有地さ。地図にものってない」





 ―クレイジー・ティー・パーティー― 


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