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アリス and アリス



 僕は・・・何者なんだろう?



 君は『誰』なの?




 〈アリス and アリス〉



 薄暗い森。

 細くてクネクネの道。

 迷いの森。


「あら、こんにちは」


 反対側から来た少女は、微笑みを浮かべながら声をかけてきた。


「ああ・・・こんにちは。あの・・・」

「向こうのお花畑を見まして?」

「え?」

「可憐な声で歌うお花畑よ。見まして?」

「いえ・・・あの、君は?」


 フリルのついたスカートをつまんで、美しい顔をした少女は言った。


「アリス」


「アリス・・・君はどこから来たの?」

「向こうから」

「ああ・・・うん。向こうに人はいるのかい?」

「ええ。チェシャ猫さんに会ったわ」

「それは・・・人の名前なの?」

「通り名よ。イカレ帽子屋でお茶会の帰りなの」

「僕は大人と話がしたいのだけど・・・」


「ああ、うさぎさん。そこにいたのね?」


 少女は何もない所を見て、にこにことしている。


「あっ。待って、うさぎさんっっ」

「あっ。待って!まだ聞きたいことが・・・」


 少女は何かを追いかけるように走って行ってしまった。


 茂みの中からコマドリがはためいて来る。

 銀色の羽と銀色の体。

 黒光りする瞳はカメラレンズになっている。


《見ない顔だね》


 合成音声。


「あなたは・・・?」

《森の管理人さ》


「あの・・・ここはどこなんですか?迷い込んでしまったみたいで・・・」


《ここは迷いの森。磁場が狂っていてね。方向感覚がおかしくなる》

「じゃあ、あの子もあぶないんじゃ・・・」

《いや。あれは私の子供さ。ピアスをしていたろう?あれに発信機が付いている》

「発信機・・・」

《あの子には徘徊癖があってね・・・またイカレ帽子屋の息子とティー・パーティーでもしたんだろう。あの子は素直で可愛いが、麻薬ティーには滅法目がないんだ》


                                            


―アリス and アリス―


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