♯01 彼女とオレの出会い
初投稿作品です
その夜はいつもと違っていた。
澄んだ空に似合わないぐらいの不気味な満月。
怖さを感じる橙色の月にオレは心を奪われた。
奪われた!!
"ドサッ"
突然、オレの頭に黒猫が降ってきた。
「・・・にゃ~」
(なっ、なんだなんだ、こいつ!)
「・・・にゃ~」
「あ、あっち行けよ」
オレは頭にのった黒猫を下ろし歩き始めた。
「・・・にゃ~」
「・・・にゃ~」
「・・・にゃ~」
「そんな甘えた声で鳴くなよ。」
(あ~、オレは何やってんだよ。)
オレは黒猫を拾い上げ家に向かった。
「まっ、春から東京の大学にきて独り暮らし。いまだに泊まる彼女もいない淋しい部屋だけど、お前がいたらいいかも。・・・でもな~アパートで飼っちゃいけないからな~飼い主探さないと・・・それまで大人しくしてろよ。」
「・・・にゃ~」
(ダメだな・・早く見つけないとオレが追い出される)
"ガチャ"
「ただいま」
(誰もいないんだけどね。気持ち淋しくないようにしてるオレ、やっぱ淋しがり屋かな・・・)
「う~ん、寒いな10月の半ばともなれば。おい、猫。あったかミルク飲むか?」
「・・・にゃ~」
(かわいいな~。お、よかった。メスでオスだとなんか気持ち的に悲しくなる気がする)
「な、名前、名前考えるか、・・そうだな、キキ。違うなそれはハハ。満月、満月、月、月、・・・オレ、センスないわ。あ~どうしようかな、あ、あ~っ!そう、そういえばあのコあのコなんて名前だっけ?」
ふと、オレは初恋のコを思い出した。
それはオレが小さい頃よく、ばーちゃんの家に遊びにいった時近所の公園にそのコはいた。髪の毛がくるくるしてて目がぱっちりのハーフ。オレは4歳児にしてそのコに一目惚れをしたことを覚えてる。
(何回か遊んだけどいつの間に親の転勤とかでどっか引っ越したんだよなあのコ・・・)
「あ、思い出した。」
「ニア」・・・(そう女の子の名前はニアだ)
「・・・にゃ~」
「ちゃう、お前は"ニア"ぢゃない。う~ん。ニア、ニア、"にや"・・・センスないわ、オレ。」
「にや。」
「・・・にゃ~」
静かな部屋に"にや"が温かいミルクを飲む音が響く。
オレはあたたかい気持ちになった。
週一での投稿をする予定です。
また、コメントなどありましたらよろしくお願いします