明日世界が終わるなら
世界が終わる。
そんなくだらないことを1度は考えたことがあるかもしれない。
もしかしたら誰もそんなことを考えたことは無いかもしれない。
それでも世界は確実に終わる。
今日の世界では観測技術が格段に上がっている。
天体観測、気象観測、地質観測。
その恩恵によって未来視まで出来るようになった。
未来視、とは言っても分かることは自然によるものくらいだ。
地震がいつ起きるとか、それくらいのもの。
初めは興味の的となっていた「未来視学」だったが、時が経つにつれて世論は徐々に静かになっていった。
そんな中、ある1つの「未来」が観測された。
世界の終末。
どうしてそんな未来になったのかは分からない。
どうやって世界が終わるのかも分からない。
それでも「世界が終わる」という事実は皆の心に深く刻み込まれた。
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世の中は終末を迎えようとしていた。
世界は明日終わるらしい。
テレビでは、残された時間を有意義に過ごすよう繰り返し伝えられた。
その、残された時間というのは定かにはなっていない。
今日が終わると、日付を跨ぐように突然終わるのかもしれないし、明日1日が終わる頃に自然と起こるのかもしれない。
それは今は誰にも分からない。
残された時間を有意義に使う。
例えば、
最後くらいどこかに行ってみるのもいいかもしれない。
新たな出会いがあるかもしれない。
なにか新しいことに挑戦してみるのも悪くないかもしれない。
意外な趣味が見つかるかもしれない。
高価な物を買ったり、豪華な食事をするのも楽しいかもしれない。
愛する人と1日過ごす人もいるかもしれない。
上手くいっている人も、そうでない人も、相手の良いところに改めて気付くかもしれない。
色々な人がいればその人の数だけ過ごし方がある。
けれど、それでも世界は明日終わる。
何をしてみても明日以降はやってくることは無い。
いくら願ってみても運命を変えることは出来ない。
あなたは明日世界が終わるとしたら、最後に何を願いますか。