日記より抜粋
ーーー年 ‐‐月2日
今日も帰りが遅い
今日も帰ってこないのだろうか?
明日には帰ってくる?
ーーー年 ‐‐月8日
久しぶりに帰ってきた。
今度はどこの女の所にいたの?
どうせ仕事だったと言うに決まっているけど
仕事じゃないことは事務所に聞いてるから知ってるの
でも聞けない、聞いちゃいけない
だって聞いたらもう帰って来なくなるかもしれないから
ねぇ、そんな日は必ずお酒を買ってくるけどそれは贖罪?
私がお酒が好きだから?
私がいつも飲んだくれてるから?
ねぇ、私はあなたがいればお酒もタバコもお金もいらないのに
わからないの?なんでわからないの?
でも、お酒は嬉しい
だって、あなたが私のために選んでくれたんだもの
これはあなたの気持ちだから大事に大事に飲まずにいるの
今日で11本目ね
いつもこれが最後になりますようにって思いながら飾るのよ
ーーー年 ‐‐月20日
あなたが帰ってきた
もう、これは日記じゃなくてあなたの帰ってきた日を記す本になってるわね
なんか痩せちゃったみたいだけど大丈夫かしら
いきなり離婚してくれなんて頭はおかしくなってしまったみたいだけど
これまでだってやってこれたんだからこれからだって大丈夫なのに
泣きながら何を言ってるのかしら
なんでそんなことを言うのかしら
女が言わせているのかしら
女が言わせているのね
これで12本目
もう、お酒はいらない
いらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらない
………最後のページより…
女がきた
もう、あなたは帰ってこないと言った
嘘だ
あの人を返して
女が隠してるんだ
なんでなんで?
あなたが帰ってこない家なんていらない
あなたが帰ってこない家なんていてもしかたない
ヤってしまおうかしら
そうしましょ
あの人は私のものだから
誰にも渡さない
女は消えて
そして一緒に逝きましょうアナタ
どこにいるのアナタ
アナタを奪ったことぜったいゆるさないから