探索する部屋その3
「で、これからどうすっかなぁ…」
そうですこれからどうしましょ…
エンカウント率がわからないから危険だしあまり動きたくないだよね。
「あのさ、少しあの取り憑いてた人について何かないか探して調べて見ない?なんか対処方法とか見つかるかも知れないよ。」
「そやな。次また会ったらやべーしな。って、何処探せばいいんや。闇雲に探せってか?」
「私もわかんないけど…。でも探すしかないと思うの。とりあえずここから…」
「こんな所になにかあると思うんか?さっき色々見たけど気になるもんなんてなーんもないし。探すだけムダじゃね。」
「色々見たって言ってるけどお酒探してただけでしょ」
「……そんなことねぇし!」
「ほらここ厨房だし塩があるかもだよ。もう一度探して見ようよ。」
「なんか、さっきから主導権を握られてる感が気にくわんけど探してやるわ。俺は塩担当、お前は手掛かり担当やしな。」
「それでいいよ。でも、それっぽいのあったら教えて欲しいな。そして、塩は独り占めしないでよ。」
「……わかった。なんかそれらしいのあったら言うわ。」
塩の事はスルーですか。いいですよーだ。
それにしてもさっき光クンが言ってたけど何処から探せばいいやら。
画面上だったら物の前まで行って一回クリックするだけでアイテムあるかどうかわかるのに。
…散らばっている汚れた調理器具や元の色がわからないほど変色している汚い机とかに素手で触るのすごい嫌なんですけど…。
何か持ってたっけ?ちょっとジャケットのポケットを漁ってみてもこの場にで役に立ちそうな物は無い…。
こうなったらしょうがない覚悟を決めてやりますか!
まずは、一番やりたくない水回りの所。なぜかと言うとやる気がまだあるうちにしないと出来なさそうだから。
まずは、何も触らず視覚的に何もないかくまなくチェック!
その後は、そこら辺に転がっていた比較的綺麗なスプーンで苔など汚れを出来るだけ削ぎ落として何かヒントが無いか探す。
ゲームではよく机の裏や汚れがあった場所に謎の記号や言葉が書いてあってそれがヒントになっている事がよくあるからね!
ガリガリガリガリガリガリ
「おい。何やってるん?掃除なんかやっとらんとちゃんと探せや。お前が言い出したんやろが!」
「ちっ違うよ!何かあるんじゃないかと思って探してたの!」
「そんな所に何があるっていうんや。無駄な事しとらんとさっさと探せま!」
わかってもらえない…。
そりゃあ、知らない人から見たら不可解な行動だと思うけど。
意味はちゃんとあるのに伝えられない悲しさ。
でも、止めるわけにはいかないので続けます!
それからは出来るだけ静かに丁寧に早く苔や汚れを取り除く作業をした。…光クンにあまり気づかれないようにね。
そして、格闘すること数十分。なんとか終ったものの何のヒントもなかった。
結局光クンに言われた通りただ掃除をしただけに…
ものすごく疲れた。特に精神的に。
ここで落ち込んでる場合ではない!次よ、次!
その後、シンクの机の中や下を汲まなくチェックしたり散らばっていた道具を集めて検品したりコンロも同じように汚れている箇所も何かないか削いだり拭ったりして慎重に調べていった。
そうするとなんということでしょう…。
いつの間にか部屋がそれなりに綺麗になっているではありませんか。
そして、ヒントらしき物の発見ははまだない…。
流石にここまでして何も見つからないと辛い。くじけそうです。
光クンはのというとさっきから冷蔵庫の所にいる。
…何してるんだろ?静かにしゃがんでて何かしてる風でもないしもしかして体調でも悪いのかな?
声をかけようと近づいてみると眉間に皺をよせて難しい顔をしている。
「大丈夫?体調でも悪いの?」
「おぇ!?」
近づいていることに全然気づかなかったようでビクッとした。
そして手に持っている物を落としたようでカランカランと私の所まで転がってきた。
拾ってみると手のひらサイズの薬の瓶みたいな物で中身は白い粉。これって…。
「何これ?」
「……っはぁ~。塩や。たぶんな。」
「なんでたぶんなの?…隠して自分だけの物にするとかズルいよ。」
「一応言おうとは思っとったし!これが塩なんか砂糖かわからんかったから言わんかっただけやしな。」
「塩か砂糖かなんて舐めればいいじゃない。」
「舐めれるかっ!じゃあ、お前が舐めてみろや。もう一つ瓶あるしこっちも舐めてみろ。どっちかが塩やと思うし。」
「すみません。無理です。こんな所の物なんて舐めたらお腹こわしちゃうかもです!」
「だろーが、アホが。んで、聞きたいんやけど他に見分け方わかるか?」
「えーと、塩は電気を通すけど砂糖は電気を通さないよ!」
「ここで化学の実験しろってか?そんなん出来るはずないやろ!」
「じゃぁ、水に溶かしてからフライパンとかで蒸発させると結晶が残るのが塩で砂糖は焦げるよ!」
「それもここで出来るか?出来んやろが!もうちょい考えてから言えや…」
「うぅぅ…ごめんなさい。アホでごめんなさい。」
「本当アホやな。まぁなんでもいいし他ないんか?」
「…うーん…確か塩と砂糖では粒の大きさが違ったはず?」
「マジか!てか、それ最初に言えや!で、どっちが塩なんや?」
「大きいほうだったような…?小さいほうだったような…?」
「…あぁん?どっちやって聞いてるんやけどなぁ…?いいかげんキレるぞ?」
「すみません!大きいほうです!サラッと砂っぽい感触のほうが塩です!」
「……お前マジなんでそれ先に言わんげんて…。疲れるわ。」
私だって今思い出したんです。
ショック療法といいますかヤバイと思ったらピコーンとひらめいたのです。
光クンはビンの中身を確かめて塩ではないと判断した物を棚に戻して残った物を差し出してきた。
「ほらよ。」
「えっ?くれるの!?」
「俺だけやったらわからんかったし。見分けたんはお前やし。受けとれや。」
私は今感動しています…!
光クンすんごくいい人。
背中から後光が見えます。
「ありがとう!大事に使わせてもらうね。」
塩を受け取ったんだけど光クンはそのまま手を出している。
何か他に手にあるのか?それとも握手でもしたいのか?
…手には何もなさそうだし。うーむ。
とりあえず握手をしてみる。
すると、秒速で振り払われました。なぜだ。
「何しとるん!」
「いや、だってずっと手を出してたから友好でも深めたいのかなとか思ったんだよ。」
「そんなんするわけないやろ!」
「じゃあ、この手は何?」
「味塩返せや。塩、そんだけあれば十分やろ?」
「へっ???」
「塩も味塩もなんて持ちすぎやろ?俺に渡せや。」
「えっ?やだよ!だってくれたじゃん!」
「それはお前が塩を持っていなかったからや!しかたなく貸しただけやしな。」
「この塩効くかわかんないじゃん。横暴だよ!」
「さっきのに効いた味塩の成分てなんやと思う?塩か?旨みか?」
「……旨みではないと思うけど。」
「そやろ?しかもたぶんこの塩は味塩でなく純粋な塩や。さっきの詰め替え用のヤツより多いそれを譲ったんやぞ。」
「これが塩だとじゃなかったらどうするのさっ!」
「はぁ?何言ってるん?お前がさっきこれが塩やっていったんやぞ。それとも俺にデタラメ言ったんかぁ…?」
「違うっ‼ちゃんと本に書いてあった事だよ!」
「やったら文句言わんと自分の言葉に責任を持てや?なぁ?」
「………………わかった。」
「じゃあ、さっさと味塩出せま。」
脅すなんてひどい!屁理屈ばっかり俺様めっ!
さっきの私の感動を返せ!!!
悔しいけどしぶしぶポケットから味塩を出して光クンに渡す。
「よっしゃ。これで大丈夫やな!次行こや。」
そう言って後ろを向いた光クンの目を盗んでさっと瓶の中の粉をちょっとつけて舐めてみる。
「…………しょっぱぃ…………」
ほら!私の言った通り塩じゃん!
まぁ、これ本当に塩なの?って気持ちはわかるけど(現に私舐めて確認したからね)疑って押し付けるなんて最低です。
絶対、ミツル先輩にお酒の事言ってやるもんね。
…お腹壊さないといいなぁ…
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森戸七海 不安
服装:ジャケット Tシャツ デニム スニーカー
装備:ペンライト
持ち物:メモ張 ペン ハンカチ ティッシュ ペンライト フォーク 塩(手のひらサイズ)
内山光
服装:デニムツナギ(風神雷神の刺繍入り)尖った靴
装備:懐中電灯
持ち物:味塩(瓶)残り2/3 味塩(詰め替え用) メリケンサック小(威力小) 携帯催涙スプレー ポケベル