元素記号を覚えよう
この小説は、頭から漏れ出した煙の成分をPSPからお送りいたします。
「ハロー キッズ! キミはもう、元素記号しっかり身に付けた? 完璧覚えたキミも、まだまだのキミも、〈元素記号を覚えよう〉に挑戦だ! ハウズユアーマウスローリング トゥデイ!」
「オブチ先生、何をやってらっしゃるのですか?」
「やあ、よく来てくれたねアケチ君」
「私の名前はヨシダです。それで、先生は『急に補講を開きたくなった』とか言って生徒を呼びつけておきながら、何をしてらっしゃるのですか?」
「よく聞いてくれた。答えよう。オレ……ゲフンゲフン。僕が何をやっていたかというと、某モンスター150匹の名前を羅列しただけにも関わらず歌として妙に成立しているあの曲の出だしをパロってたんだ」
「何故?」
「作者が執筆直前にアレを思い出して、頭から離れなくなったらしい。流石に全身黒タイツは勘弁してもらったけどね」
「意味が分かりません」
「まあ、何かインスピレーションが降ってきたって事だよ。そんな事より、他の皆はどうしたんだい?」
「帰りましたよ。あんなふざけた事言って、来る人なんかいる訳無いじゃないですか」
「何だ全く。理由はどうあれキミ等の為の補講なのに。向上心が足りないなぁ。じゃあ補講を受けるのはキミだけかい、ワトソン君。ツトム君は?」
「私の名前はヨシダです。そしてツトム君は塾だそうです」
「そうか。まあ彼にこの補講は必要ないだろうからいいか」
「それを言ったら私にも必要無いんですけど」
「ん? 何か言ったかい?」
「い、いえ! 別に! それより、話が進まないんで始めましょうよ!」
「そうだね。本当に他に来る人いないみたいだし、ぶっちゃけ二人が扱える限界っぽいしね」
「え? 何の話ですか?」
「いや、2008年6月22日現在での作者の能力的な話をね」
「……先生」
「おっと、ゴメンゴメン。じゃあいい加減始めよう」
「お願いします」
「この補講では、化学の基礎の基礎・元素記号の覚え方について、いくつか覚えやすいやり方を紹介していきます。前半は元素と記号・後半は周期律表の順番をやります。えー、多分十分も掛からないと思いますが、『んじゃ普段の授業でやれよ』とか、『プリントでいいじゃん』とか、そういうツッコミは一切受け付けません。いいですね?」
「はい先生」
「よろしい。ではまず、元素の記号からですが、そもそもアレは元素名から一文字、又は二文字取って作っただけなのでほとんどはガチンコで十分覚えられます。裏技要りません」
「いきなりこの補講の意義が疑わしくなってきましたね」
「元々そんなに大層なもんだとは思ってませんよ。でも、例えば“鉄”の元素記号は“Fe”ですが、日本人には何で“鉄”が“Fe”なのかさっぱりですよね。まあ単に“鉄”のラテン語の名称が“Ferrum”で、その頭二文字を取っただけなんですけどね」
「そうだったんですか。という事はつまり、ラテン語やドイツ語では超単純な記号でも日本語になると意味不明な元素記号の覚え方を紹介していただけるんですね?」
「そういう事です。ちなみに“鉄”も後でやります。では、最初は“水素”からいきましょう」
「先生、“水素”を覚えてない人は単に勉強してないだけだと思います」
「まあ、元素番号1番ですしそう言いたくなるのも分かりますが、作者が聞いて欲しそうなので聞いて下さい」
「仕方ないですね……」
「そういう人です。で、“水素”ですが、英語表記の“Hydrogen”の頭文字を取って“H”。そのままなのですが、この語は元々ギリシア語の“水”を表す語“ハイドロ”と、“発生”を表す語の合成語で、“水を作り出す”元素という意味なのです」
「“発生”を表す語って、ちなみに何ていうんですか?」
「“gennao”。だけど何て発音するのか作者には分からなかったみたいです」
「書体って便利ですね。というか、それ位ならちょっとネットで調べれば瞬殺でヒットしますけど」
「もちろんこれで終わりじゃない。この“ハイドロ”という語が“水”という意味だと知った時、作者は『(冒頭で出てきたゲーム)の(初代水系最強技)って“水ポンプ”って意味だったんだ!』と、何かが弾けたらしい。お蔭で前述のピンポイント過ぎる知識を身に付けたみたいだけど」
「……これってもしかして単に作者が新しく得た特に凄くもない知識を自己満足的にひけらかしたいだけですか?」
「…………」
「…………」
「今後、その事には触れるな。いいな」
「ワ、ワカリマシタ先生(地が出てます先生!!)」
「という訳で“水素”が“H”だという事をうっかり忘れてしまった場合はあのロケット砲を甲羅に備え付けたカメを思い出すんだ!」
「はあ、分かりました。まあ私は忘れないけど」
「では次。炭素と酸素。これもまあ、どっちも英語表記の頭文字なんですが、最近地球温暖化等のお蔭でよく耳にするCO2・二酸化炭素で覚えればいいです。2の付いてるOが酸素・何も付いてないCが炭素。以上」
「軽! 扱い軽いです! 水素とのこの差は何ですか」
「いやぁ、これ以上いいの思いつかなかったって言うか? どうせこんなん忘れる人なんていないだろって言うか? 次のが今回のメインパート1なもんでちょっと先走っちゃったって言うか?」
「聞かないで下さいよ私に。こんだけ短いと切り上げるタイミングが掴み難いじゃないですか」
「じゃあムリヤリ次いこう。次はですね、今回のメインパート1・“金”、“銀”、“銅”です。この3つ、セットで覚えましょう」
「周期表でも仲良く縦に並んでますもんね」
「ではいきます。金、銀、銅と言えば! 何が思い浮かびますか?」
「え? えっと……メダル?」
「はい。ありがとうございます。そう、メダルです。そして金メダルを獲得した人は英雄ですね。という訳で“金”の元素記号は“Au”です」
「おお!」
「そして銀メダルは二番手ですね。つまり、金の次・英雄の次・英次。つまり“Ag”です」
「おお!」
「銅は3番目ですが、ところでアルファベットの3番目は何でしたっけ?」
「Cです」
「そうです。つまり“金”・“Au”から数えて3番目は“銅”・“Cu”なのです」
「おお! なるほど、そうやってイメージすれば一発ですね」
「暗記なんてのはそういうもんですよ。という事で元素記号は以上です」
「え、まだ6つしかやってませんけど……」
「うーん、じゃあ苦し紛れにもう2つ。元素番号で言うと“金”の前・“白金”。これは“プラチナ”だから“Pt”です。そんで“金”の後・“水銀”。これは“水”の“銀”ってことで“Hg”と覚えましょう。これでいいですか?」
「いや、それでも8つしか……あと先生、“鉄”やるって言ってましたけど、まだです」
「“鉄”はこの後の周期表の時に覚えます。これ以外のものはネタが無いとカンペに書いてあります」
「半分以上受け売りのクセに……」
「異次元の事情を暴露しないで下さい。それでは次、周期律表の順番に入りますが、その前に1つ言っておきます。今回ここでは1~38番までの数え歌的なものを紹介しますが、その内1~20番まではどこかで聞いた事ある場合があります。ご了承下さい」
「結局こっちもパクりですか。最低ですね。色々謝った方がいいんじゃないですか?」
「それは作者の仕事です。ではいきます。1~10番まではこう覚えましょう。『水兵リーベ、僕の船』」
「リーベって何ですか?」
「“愛”です。水兵さんは自分の船を愛してるとイメージして下さい。“H”は“水素”なので、H Heを『水兵』・Li Be を『リーベ』・ B C N O を『ボクの』・F Neを『フネ』と当てて覚えます。Oの位置がBとCの間では無い事に注意して下さい」
「多少のムリヤリは語呂合わせの基本ですね」
「よく分かってますね。次です。11~20番までは『七曲がりシップス クラークか』。シップスはShip(船)の複数形・クラークは船長の名前として、蛇行しまくってるあの船団はクラークさんとこのだな・みたいにイメージして下さい」
「クラークさんは豪快な白髭に眼帯のお爺さんでいいですか?」
「何でもいいですよ。イメージしやすければ。Na Mg Alを『七曲がり』・ Si P Sを『シップス』・ Cl Ar K Caを『クラークか』と当てます 」
「ここまでは受け売りなんですね? 確かに教科書あたりに載ってた気がします」
「そうですか。すみません。しかしここからは正真証明オリジナル・今回のメインパート2です。と、カンペに書いてあります」
「先生、それはもういいんで」
「そうですね。ではいきます。21~30番までは『スカチビ クロマン 笛子に「クズ」』。スカしたチビのクロマン君が笛子さんに「クズ」って言った・というイメージで」
※全世界のクロマンさんとフエコさん、ごめんなさいBy作者
「先生、そういう誹謗中傷になりかねない事は言わない方が……」
「後で作者に土下座させます。しかしこれで一発で覚えた人がいるのも事実です。Sc Ti V を『スカチビ』・ Cr Mn を『クロマン』・ Fe Co Ni を『フエコに』 Cu Znを『クズ』と当てます。で、笛子の所を鉄子としても可・と覚えれば“鉄”=“Fe”と簡単に覚えられるでしょう」
※全世界のテツコさん、ごめんなさいBy作者
「また、日本人にはストレートな事言いますね」
「後で作者に地べたに頭擦り付けさせます。ああ、一応言っておきますが、身の周りのクロマンさんに『スカチビ』と言ったりフエコさんやテツコさんに『クズ』と言って罵ってはダメですよ。冗談で流せる関係だとしても、ヘタすれば犯罪ですからね。特にこの講義もどきを受けた後は悪影響どうたらで後味悪いんで絶対に止めて下さい」
「そんなに必死にならなくても大丈夫ですよ。生徒、私しかいないじゃないですか」
「……それはそれで悲しい事なんですけど、世の中どこで何を聞かれてるか分からないので、念のため、ね。という訳で最後、31~38番まではこう覚えましょう。『ガリ ゲルマ 明日セイ「ブラくれルビス」』。ガリガリのゲルマ君は明日、ルビスさんに「ブラくれ、ルビス」と言う・というイメージで。『セイ』は英語のSayです」
「先生、卑猥です。女性の下着を貰うのが計画的って、どういう事ですか? ていうかオリジナルに入ってからこっち、ロクな語呂合わせじゃないですね」
「素人の考える事なんて下劣で低俗なものだよ。そういうのも堂々と公開できてしまうのがネットなのだから」
「うわぁ……」
「それはともかく、当てますよ。“Ga”は“ガリウム”・“Ge”は“ゲルマニウム”なので、Ga Ge を『ガリ ゲルマ』・ As Se を『明日セイ』・ Br Kr を『ブラくれ』・ Rb Srを『ルビス』と。“セレン”を『Say』と当ててますけど、元素記号は“Se”だからそこは注意してください。“Sa”なんて元素記号は無いです。2008年6月22日の時点では」
「分かりました先生」
「以上で補講を終わります。何か質問はありますか?」
「はい、先生。いつまでキャラを偽るつもりですか? 口調が安定してませんでしたし、何か気味悪いです」
「うるせぇ。デスマス調でやれって言われてたんだよ。俺苦手なのに」
「も、もう地に戻っても大丈夫なんですか?」
「あ? 知るか。講義は終わったからいいんじゃね? 他には?」
「あ、えーと、中学生にストロンチウムまで必要なんですか? ここ一応中学校ですけど」
「無い!」
「そんなキッパリと……」
「でも知っておいて損は無い。後々役に立つかもしれないしな。ツトムなんて周期表全部覚えてたぞ」
「マジデスカ」
「ああ。ここに都合良くツトムが周期表を覚えた時に使用したノートがあるんだが、ヤツはひたすら書き取りで覚えた様だ。見ろ」
「凄い。びっしりですね」
「と、まぁ今日紹介した以外にももっと有効な手段はいくらでもあるだろうが、結局は本人の努力次第という事だ。ここまでする必要は無いけどな。何事にも向上心を持って取り組めよ。そしてやるべき事はちゃんとやれ。自分で自分の未来を作る為にな」
「は、はい! 分かりました!」
「ん? どうしたヨシダ、顔赤いぞ」
「え、や、別に大丈夫です」
「そうか? 向上心は大事だが、無理はするなよ」
「は、はい! じ、じゃあ私はこれで失礼します。ありがとうございました」
「おう。ってもういねぇ……何だあいつ。まあいいか。本日の講義を終わります」
fin.
取りあえず、作中で失礼を働いてしまった事を詫びます。
死ぬほどすみませんでした。
え? 腹切れって?
……切腹!
『“Fe”塊!』
【ガキーン!】
死ねませんでした。勘弁して下さい<(_ _)>
はい。読んでいただければ分かる通り、読者数なんか狙ってません。趣向としては、
「俺こんな感じで覚えたよへへーん」
みたいな感じです。
いやもう色々すいません。このコントが少しでも元素記号に苦しんでる学生さんの助けになればと思っております。
では、いつかまたどこかでお会いすることを楽しみにしております。m(_ _)m