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0. 女


 土曜の朝は、平日とは違って気の抜けた知らない芸人の旅番組や、カメラのまわっていない所では仲が悪そうな女性タレント達の散歩番組が放送されている。

 小さいくせに値段が高くて、どこに付けたらいいのか分からないようなお土産のストラップを楽しそうに選ぶ綺麗な横顔。

 それをベッドの上で眺めながら、その下に転がっているはずの清涼飲料水を探る。

ベッドの下に入れた手はお目当のペットボトルと埃の絡んだ髪の毛を掴んだ。

髪の毛をゴミ箱に捨てて、ペットボトルの中身を全て飲み干す。


 カーテンの隙間から差し込む優しい陽の光がどうしようもなく私を攻撃していた。

 冬が過ぎて、桜が咲いて、緑の映える季節が来る。外を走る車の音や、子供の笑い声、すぐそこの交差点でよく起こる車の衝突音。


 当たり前の日常の全てが私を責めている様な気がして、布団に潜り込む。

厚手の毛布は、この季節には暑すぎる。

洋服の衣替えもしていない。

この部屋は時間が止まっている。


 動かない部屋の時計と、規則正しく動く心臓は、どちらも協調性が無くお互いのことなどまるで知らない様に止まっているし動いていた。


 時計は電池を入れれば動き出すし、心臓は首を絞めれば止まる。


 それだけのことなのに、どちらかをすればいいだけなのに、私は毛布の中でじっとりと汗をかきながら息を潜めているだけだった。



 どうしてこうなった?なんて考えることもやめた。

実は私がおしゃべりが好きで、意外と運動ができること、かわいい動物や美少女のイラストが描けることも、なんの意味もない。




 現実を生きていない私には、何も意味がない。


 寝れもしないのに目を閉じて、夢も見れないのに意識は沈む。

全部、私の思い通りになればいい。都合のいい彼らは、私を無条件に愛してくれる。



 そういう『設定』だからだ。

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