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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
2:先輩・神前直澄/中1
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二次元と仙人

「ところで、直くん。恋人っている? ──いないか」

「いっ、いないけど、答える前に決めつけるなっ!」

「いないならいいじゃない。というか、ほんとうに、年上甲斐のないひとだね。いっこ下の中が、精神的にしっくりくるってだけなんじゃないの?」


ぱくぱく、と神前が口を開閉させる。

江野がまた物言いたげににらんできた。


「なあなあ、マコ。中二で恋人ってふつういるもん? いないよな? な?」

「俺に訊かないでください」

「マコは、今は恋人よりもサッカーを選ぶよ。高校を卒業するくらいまではそうかな。でも、好きな相手くらいはいるはず。直くんとちがってね」

「えええっ。そうなの? どこに? 学校?」

「……何で、食いつくんですか。どうだっていいでしょう」

「そうか。好きな相手くらいいた方が、サッカーも頑張れるのかなー」

「直くんってマンガが好きなんだよね? なら、恋は二次元にしてればいいんじゃないの」

「優児、おまえってやつはー!」

「バカにしてるんじゃないよ。その方が、精神的に楽だってこと。返るかもしれない心を気にするのは、けっこうしんどいからね。直くんは器用じゃないから、サッカーに集中できなくなる」

「マコだって器用じゃないとおもうけど!?」

「マコは──」


赤間の視線に、江野はふいっと目をそらす。

赤間は、痛みよりもよろこびを感じた。

目をそらすということは、それまでは自分を見ていた、ということだ。


「心が返ることなんて考えてないんじゃないかな。お守りみたいなものだよ。自分の心にいれば、それでいいんだ」

「…………おまえ、仙人かなんかか?」

「訊く相手がちがうんじゃないですか」

「優児が何でも知ってまーすって顔してるのにはもう、おどろかない。でもさ、好きなら、好きになって欲しいな、とか。せめて手くらいにぎりたいなーっておもわない?」

「直くん! 今時、手をにぎりたいって…………戦前映画じゃあるまいし!」

「うるっ、うるさいなー。だって、マコが考えそうなことって、そこまで卑猥なことじゃなさそうっていうか──」

「セックスが卑猥だなんて、まさしく中学生の発想だね。どこでそんな洗脳を受けたの?」

「せ、洗脳……?」

「どんなことでもね、ぜったいやっちゃダメだって言われるほど、魅力的におもえるんだよ。だから、やれない現実に苦しむ。禁止されるまえに、自分から手放す方が楽なんだ。今はサッカーの方が大事、その選択ひとつでいいんだよ」


赤間は、江野の横顔を見つめた。



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