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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
11:降格危機/プロ三年目
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KFJ 第36節の一件

「作戦名はKFJ!」で、主人公神前が語っていた赤間の移籍前夜です。本編であるKFJを読まれていない方は、お時間がありましたら、ぜひぜひ!

「いいから、おまえの好きにしろ」


うつむいて目をつむった神前の声は震えていた。

死ぬほど無理をして、そのことばを言っているのだとわかる。

本音は、ひとりにしないでくれ、なのだろう。

本人は気づいているのかいないのか知らないが、赤間は中学生のころから気づいていた。

彼が、何かにつけていっこ下の後輩たちに寄ってくる理由を。

自分がどんなに悪態をついても、それでもそばにやってくる。

とっくにハタチを過ぎているというのに、未だに恋人のひとりも作らず、童貞でいる。

何よりもサッカーが大切で、FFが大切で──

だからこそ、天才と呼ばれる後輩赤間優児に、あこがれと執着を抱いていた。

恋、の方が話は百倍単純だ。

でも、慕うきもちは恋愛感情ではないから、赤間も振る、という手段を取れなかった。

赤間にとって、こんなやっかいな相手はいない。

自分がどんな目で赤間を見ているか自覚がないから、ため息をつかれる理由もわからないのだろう。


「あのさー。直くんひとりに任せたら、ここ、あっという間に沈没しちゃうとおもうんだよね」

「ぐっ…………な、何とかする!」

「直くんの何とかする、を俺が信用するとおもってんの?」

「だっておまえは、ここがどうなってもいいんだろ!?」

「うん。あー、だから、今にも降格しそうなのに俺は本気も出さずに手を抜いてるんだー、とかおもってる?」

「──いや」


堅い顔で、首を振る。

神前は、ふしぎとひとの真偽を見誤ることはない。

だからなおさらやっかいなのだと、赤間はもうひとつため息をついた。


「……好きにしろ、か。言われなくてもそうするよ。直くんは、自分の売られる先でも心配してたら? まあ、滝田のオヤジなら、いちばんマシな移籍先をあてがうとはおもうけどね」

「おまえ──曽根さんたちに何か言われてるから、ここにいるんだろ?」

「何か? っていうか、直くんは、何て言われたのさ、アニキたちに?」


カマをかければ、神前が視線を逸らした。


「ゆ、優児を頼りにはするな、って」

「へー。俺を頼りにするな、ねぇ? つまり、直くんの本音は、俺を頼りたいわけだ?」


ぐっ、と神前がこぶしをにぎる。

赤間はぐしゃぐしゃと後ろ髪を掻き混ぜた。


「まあいいよ。俺が直くんの言うことなんか聞くわけないだろ。せめて、本音を隠せるようになってから出直して来なよ」


怒りと羞恥が入り混じった目でにらんで、神前はばっと背中を向けると駆け去った。



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