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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
9:寮生活/プロ二年目夏
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『仲間』

「ところで。こんな話するために、寄ってきたわけ?」


問えば、たちまち潤が気まずそうな顔をする。


「ああ、ええっと。その……もういっこ、気になってることがあってさ」

「マコのこと?」


ぎょっ、とした潤は、しばし迷ったあと、あのさ、と切り出した。


「優児、古賀礼っておぼえてる?」

「……おぼえてるも何も。礼なら、マコがたまに食事に誘ってるから、そのときは大抵俺もいっしょに行くよ」

「あ、──そうなんだ? マコが今も連絡取ってるのは知ってたけど」

「礼がどうかした?」

「あいつ、高校卒業して、ファッション系の専門学校に行ってるって」

「知ってる。二年制だから、今年までだろ?」


潤が、そわ、とあたりに視線を投げる。


「……会ってるなら知ってるんだよな、優児も。あいつが今、女のカッコしてるの」

「うん。きれいだろ?」

「シャレにならないくらいな。あいつが女だったら、マコの好みっぽい、とかおもう。──じゃなくて!」


椅子に座り直して、赤間の方にやや身を乗りだした。


「今、休学してるんだってさ」

「どうして?」

「家から追い出されて、バイトしてるみたい。あいつの家、親父さんが事業やってるし、姉さんが嫁にいくとかで。なんかもめたらしいよ」

「…………そっか。マコには相談してるのかな」

「いやー、してないっぽい。好きなショップで働けてるし、しがらみが消えてむしろ良かった、とか笑ってたから。本人がそれでいいならいいのかなーともおもったんだけど」

「風当たりが強いのなんか、本人、覚悟の上だからね。マコとか、おまえとか、気にかけてくれるだけでうれしいんだとおもうよ」

「そりゃ、仲間だもん」


赤間の視線の先で、ぐしゃ、と潤が気まずそうに髪を掻く。


「俺、中学のころ、いちばん礼と仲良かったからさー。というか、そうおもってたから……未だに、気がひけてるんだ。あいつの相談に何にものってやれなかったこと。俺にまで、隠させてたこと。マコから聞くまで、美少年って女の子にちやほやされていいなーとかおもってただけだったから」

「潤らしっ」

「笑うなよ。マコがさ、自分のことみたいに真剣な顔で、言えなかったきもちくらいは理解してくれって頭を下げたとき、俺、ちょっと泣いたんだ。マコには敵わねーな、とおもって」

「マコって、すごいよね?」

「うん。だから、礼がどうおもってるかは知らないけど、俺たちは今も、マコのことを大事におもう『仲間』なんだとおもってる」


そう言って、潤は赤間を見つめた。

まるで、おまえのこともおなじだ、と言っているようだ。

赤間はうなずいた。


「礼に連絡してみるよ。俺で力になれることなら、力になるし」

「……そっか。ありがと」


にこっ、と潤は笑ってみせた。

けれど、それでも潤の表情が完全には晴れなかったことを、赤間は見逃してはいなかった。



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