鑑賞会
「なー、知ってる、優児? マコ、年上の彼女と別れたんだって」
赤間が寮の食堂で夕飯を食べていると、めずらしく潤が目の前に座った。
「彼女って、あのメガネのグラマー?」
「優児、情報が古いよ。それは、元カノ。あー、えと、前の元カノ、になるのかな」
「どっちだっていいけど。ふーん、いつ、乗り換えたんだろ。前の彼女は、けっこうマコの好みっぽかったのに」
「え、巨乳が?」
「ちがうよ。メガネ外したらけっこう美人だったとおもうよ、彼女。で、年上ってどんなだったの?」
「看護婦さん。……あ、優児、笑った?」
「ふふ。いや、マコと看護婦さんって、どんなプレイをするんだろうとおもって。潤、それを言うなら、看護師だろ」
「そうだけど。看護師っていうと、とたんに色気がないとおもわない?」
「医療現場に色気はいらないんだよ」
「ちぇー。でも、なんか、セクシー系だったんだ。マコといっしょにいても、体にベタベタ触ってるかんじの」
ごはんを口に運んだまま、箸を止める。
「へーえ……」
「マコってさ、高校のときとか、つき合ってたの清純派じゃなかった? 俺、ああいうのがマコの好みなんだとおもってたけどなー」
「さあ? どれも、大して好きなわけじゃないんじゃないの」
「えっ、でもつき合ってんだよ?」
「単に、やりたいんじゃないの?」
「やっ! ……うそぉ! だって、マコだよ?」
「俺たちと同じ年の男だよ。何で、マコにだけ性欲がないとおもうの?」
「だって──俺たちが借りてきたAVの鑑賞会するときだって、マコ、興味ありませーんって顔してるもん。無理やり連れてくと、見てるけどさ」
赤間は、持っていた茶碗を置いて、おもわず頭を抱えた。
「鑑賞会ってナニ。というか、借りてきたってのが。レンタルなんかで借りてくるなよ。FFの選手がこーんなAV借りてったって、ネタにされるよ」
「だって。気に入ったのなら買ってもいいけど、借りた方がいろいろ試せるし。ゲームやって、負けたやつが罰ゲームで借りてくんだ」
「マコも、見るんだ?」
「うん。俺が初めて罰ゲーム食らったとき、頼んだらいっしょに来てくれた。好きなの借りていいよって言ったら、どんなの借りたとおもう?」
おもわず、ぐしゃぐしゃと頭を掻いた。
「まったく想像つかない。どんなの?」
「それがさー。洋モノのゲージュツ的なやつ! 抜く用じゃなく、文字どおり、鑑賞用ってかんじで。エロじゃなくエロスってかんじ? これ見てどーすりゃいいんだろうって俺たち固まってたけど。マコは真剣に見入ってたな。どうせなら絡みもうつくしーく見たいんだろうね」
「はぁ。なるほど──」




