FFのためだけ
「ふふっ。ふふふ。……そうだね。俺じゃなく、女のすがたでなら、想像しちゃってもいいのかな」
「おまえのすがたのままでもいいんだぞ?」
「ううん。それはダメ。俺が、マコのそばにはうつくしい女にいて欲しいんだよ。マコのことが大好きで、マコのすがたを見てるだけでしあわせで、しっとり濡れてくる、やわらかくてふわふわした女の体で、マコのことを抱きしめてあげて欲しいんだ」
ほほえんだ赤間を、さらうように一樹が抱きしめてくれる。
背中側からも、体温が覆ってきた。
「優児。おまえ、女としたことある? しっとりどころか、好きな男とキスしてるともう、ぬるっぬるに濡れてきちゃうんだぞ。ローションなんかとぜんぜん感触ちがうから。てきとーな女見つけて、試してみろ」
「入れたらきもちいいの?」
「あー、まあ、ひとによりけりだな。俺はおまえに入れられた方がずーっときもち良かったし。あいてっ、踏むな、一樹」
「まったく。……優児、セックスはな、好きな相手とするのがいちばんきもちいいんだよ。理屈じゃない。好きな相手ってだけで、何もかも、バカみたいにきもちがいいんだ。単なるキスだって、好きな相手とすれば、心がふるえる。──知ってるだろ?」
「うん、知ってる……」
「ハ? 待て。優児って、マコってやつとキスしたことあんの? いや、それより、一樹の好きな相手って誰だ。誰とそんなキスしたんだ。聞いてねーぞ!」
赤間は、一樹と顔を見合わせた。
同時に、吹き出す。
「大樹は、しょうがないね」
「ほんっと、しょうがねーな。今夜は、いっしょにかわいがってやろうか、優児?」
「……俺もいっしょでいいの? これから、ふたりも、離ればなれになっちゃうんだろ?」
「なるな。どのみち、おなじチームに行って働いてやる気なんかさらさらない。俺たち双子の本領発揮は、FFのためだけだ。そこは譲らないって、滝田さんにも言ってある」
「まー、仕方ねーから、当分は代表で逢瀬を重ねような、一樹。……おまえも、近いうちに来いよ、優児。三人でいっしょにやろうぜ」
「セックス?」
「サッカーだよ!」
そうして、三人はひとつのベッドでもつれ合うように求め合い、夜も更けたころ、折り重なるようにして眠った。
優児の背中には大樹がしっかりと抱きつき、優児の頭は一樹の胸に抱かれていた。
優児は背中の大樹が泣いていることに気づいていたし、一樹は涙を流す優児の頭をいつまでも撫でつづけてくれたのだった。




