心配性
「潤、おまえも、そんなことやってる場合じゃないだろ!」
「へ? どーいう意味?」
「おまえだって、夏にケガしてなきゃ大会で活躍してプロになれてたかもだろ。もう諦めたのか? それとも、まだまだ足掻いてみるか?」
江野の顔を見て、それから赤間を見た潤が、ぱっと顔を輝かせる。
「足掻く! 俺だけプロになれても恨みっこなしなー、マコ」
「ぜったいいっしょにプロになろうな、って言えよ、どうせなら」
「ふーんだ。だって、マコは優児からいっしょにって言われたに決まってるしー。でも、マコはほんと、死ぬ気でプロになんないと。優児がひとりになる。かわいそうだろ?」
潤は、赤間に視線を投げて、にへらっ、と笑った。
「こいつには、曽根さんたちがいる」
「マコはさー、もうずーっとそればっかり。今年になってしみじみ、マコのストイックな頑張りの原動力って、優児をひとりにはさせとけない、って心配性?だったんだなー、とおもった。毎日のように、あいつは曽根兄弟に懐いてるからもう放っといて大丈夫だ、って言ってる気がする」
「うるさい、潤。話を盛るな!」
「えー。ほぼ毎日だろ。俺たちが、優児今日はいないの?トップの練習?トップであいつうまくやってんの?とかって話してると、曽根兄弟がいるから平気だ!って怒り出して。俺たち、マコって、優児が曽根兄弟に乗り換えたからすねてんだなー、って話してるもん」
「……そうなの?」
「怒ってないし、すねてもない。信じるな」
「でもさ、やっぱり、マコは優児にとってとくべつ?だよな? マコは、何だかんだで、いちばん優児のこと構ってたし。何でか、ひとりで何でもできる優児がいちばん、マコのこと必要としてるみたいでさ。それって一種の、相思相愛、てーの? あー、変な意味じゃなくて! 同期の仲間とか、チームメイトとか、おまえらはそんな次元じゃなくて。たぶん、一生物の、いちばん大事な友だち…………じゃない?」
潤の目が、おそるおそる赤間と江野を見比べる。
赤間は、くすっと笑った。




