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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
7:プロという夢/数日後
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『彼女』との下校

手をつなぐでもなく、淡々と並んで歩いてくる。

バス通り側を、さりげなく彼氏が歩いていることに、あの小柄な女は気づいているのだろうか。

電柱の横を通るたび、背後から追い越していく自転車の存在を気にかけている。

いっしょにいて、バカみたいな話で間を持たせるのが、やさしさなどではない。

居心地が悪そうな顔で横を歩く少女に、ほんとうに、彼の価値がわかっているのだろうかと、赤間はおもう。


「それが、マコの彼女?」


駅の構内から数歩踏み出して声をかけると、小柄な女の顔がぱっと仰向く。

その目が見開かれ、ほのかに頬が朱に染まったのを赤間は見逃さなかった。


この女はダメだよ、マコ──


そう、内心で赤間はつぶやく。

体操でもやってたのだろうか、とおもえる姿勢のいい小柄な少女。

ひと言で言えば、かわいい小動物系。

江野が自ら恋をするタイプではないとおもう。


「優児……なんで、おまえがこんなところに?」

「話があるから。いっしょに、マコとクラブハウスまで行こうとおもって。彼女とは、どこまでいっしょ?」

「あ──それじゃあ、私は、本屋さんに寄って帰るから。江野くん、また明日、ね」

「ああ、気をつかわせてごめん。気をつけて帰って」


手を振って別れる江野を、赤間は黙って見つめていた。


「──で?」


赤間の方を向くなり、江野のまなざしは一変した。


「俺にも、あんなふうにやさしく話しかけてくれればいいのに。冷たい声だなー」

「話があるんだろ?」

「ここでするの? 同級生たちの目もあるんじゃない?」


江野が、むっと眉をしかめる。

江野と赤間は、通う高校がちがう。

ちがう制服を着た、一八〇センチ超えの長身ふたりが並んでいると、それだけでも人目を引く。

黙って電車に乗ると、クラブハウスの最寄り駅で、ふたりは黙って降りた。


「マコはさあ。プロになるのを諦めたの?」

「ユースからトップに昇格するのは、おまえと、充と翔太の三人だけだ」

「……とりあえずは、そうだね」

「もう、大会は終わった。優勝もしたし、やれることはぜんぶやったつもりだ。その結論が、昇格は三人だけ。なら、仕方ない」

「そう──」


赤間はうなずいた。

隣を歩く江野が、眉を寄せる。



『KFJ』では説明したかな? ユースからのプロ入りは、同じクラブのトップチームに昇格、って形になります。それがダメだったら、ほかのクラブに行ったりもしてるはず。どっちにしろ、狭き門ですが。

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