一樹の想い人
赤間は、シャツの胸元から素肌に手を触れた。
鍛えられた胸筋の感触を味わう。
「ということは。大樹にいろいろされたのも、一樹には大事な思い出になってるんだ?」
「…………大樹には言うなよ」
「ほんとは、俺よりも大樹に抱かれたい?」
「──おまえとすると、こうやって、何もかもあいつの前で暴かれそうで怖かったんだ。でも、あいつがいなければ、問題ない。おまえには、ぜんぶ曝してしまえる」
「高校生の、ガキの前で、ぜんぶ?」
笑って問い返せば、赤間の頭を抱いていた手が、シーツの上に投げ出された。
「あんな、ノーミソがとろけそうな真似しておいて、意地悪言うなよ。俺だって、サッカー以外はほとんど何にも知らないガキとおんなじなんだから」
「かわいがってあげる」
「──けど、次はちゃんと俺に抱かせてくれよ、優児」
「え? 抱きたかったの?」
「大樹が言ってただろ。おまえは、やられてるときの方が、素で……」
一樹と視線が絡む。
「素で、よろこんでる。俺だって男だから、できれば、よろこばせてやりたいんだ。大樹は、おまえにきもちよくしてもらう方に夢中みたいだから、いまいちだろ?」
「ふふ。大樹を実験台にしてるのもたのしいよ。あんなに女の子をきゃーきゃー言わせてるくせにね。あんなとこ見たら、みんな卒倒するんじゃない?」
「優児にしか見せねーよ」
「ここにきて、いっしょに見てるくせに」
「俺にはあんな顔、見せねーからな」
「ふふっ。やり方、おしえてあげようか? 自分でやってみる?」
「いい。自分でやってたら、われを忘れて興奮しちまう。俺じゃ、あんなきもち良くはしてやれない」
「俺も──大好きなひとが相手だと、われを忘れちゃうのかなー。だったら、他のひとでいくら試したって、あんまり意味ないよね」
「どうかな。優児だったら、理性が勝つのかもしれねーけど」
「いつかマコをこの手で抱けるのなら、百万回だって練習しときたいよ」
「うん。いつか、な」
「ムリって言ってよ」
「ムリじゃねーよ。だから、今は、俺で練習してな。練習台だろうが、実験台だろうが、いくらでもなってやるから」
さら、と髪を撫でる手に誘われて、キスをする。
一樹の胸に抱かれて眠りに落ちたのは、それから二時間も後のことだった。




