表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
5:トップチームデビュー/高3春
25/60

「苦手なことは──」

「アニキって、呼んでいいの?」

「もちろん。これからは、俺たちのそばが、おまえの帰る場所だ。好きに、欲しいものを追って行け。さみしくなったら、俺たちのところに帰ってこい。誰にだって、そういう場所は必要なんだ」

「一樹はずるい。かっこいいセリフは、いっつも独り占めしてー。優児、優児、うちに来るなら、俺と寝ような。おまえが欲しいだけ、俺が、ぎゅってして、なでなでしててやるからなー」

「……どこを?」

「どこ? あー。全身、くまなく?」


にっ、と大樹が笑って答える。

とたん、ごん、と一樹が大樹の頭を殴った。


「おい。相手、まだ高校生だぞ。せめて、直の前ではよせ。魂魄がどっか飛んでいった顔してるじゃねーか」

「いてーな。つーか、直はもうすぐ一九だろうが。ガキあつかいしてやるな。直、無修正横流ししてやろうか。アジア系と欧米系、どっちが好みだ?」

「直くんはオタクだから二次元萌えだよ」

「あー……わりぃ。それは管轄外だわ。自分でエロゲーでも買ってくれ」

「ゆっ、ゆゆっ、優児おまえなー!」


われに返ったらしい神前が、顔を真っ赤にして怒っている。

中学生のころと大して変わってないな、と赤間はおもった。


「まーまー、こいつらのペースに乗ることないって。ディフェンダーの心得、その一。──それより、仲良くやろうな、直。ディフェンダー同士、わからないことや困ったことがあれば、何でも言え。プロの世界でも、先輩は頼っていいんだからな。安心しろ」

「ううっ……、俺さっき、優児にさんざん、あんたがプロで戦っていけるとはおもえない、とかっていじめられて──」


一樹が、困った顔で赤間の方を見る。


「直くんは甘すぎるから、勝負事にはあんまり向かないとおもうって言っただけだろ。プロスポーツなんて、八割方、騙したもん勝ちだよ?」

「……ちがいねー」


ぷっ、と大樹が吹き出した。


「まあ、そのとおりだけどな。直が騙さなくても、直の動きを使って他のやつが敵を騙せばいいじゃねーか。それがチームスポーツってものだろ。全員が完璧である必要なんかない。誰かが苦手なことは、得意なやつがやればいい。直にできないことは俺たちがやる」

「一樹さん……!」

「じゃあ、俺たちに無理なことは、優児がやってくれ。そのかわり、おまえの苦手なことは、俺たちがやるからさ」


なっ、と肩を抱いた大樹に笑いかけられる。


「そうだね。俺には無理で、直くんにならできることも、いっこくらいはあるとおもうよ?」

「優児、コノヤロー! おまえぜったい、俺を先輩とおもってないだろ」

「うん。おもってない。そもそも威厳がない」

「くっそぉー」

「泣くな、直。俺たちだって、五つも年上なのに、二歳くらいしか、ちがう気しねーから」

「おまえさー、ユースとかけ持ちするんだって? もう、トップに専念しちまえよ。高校だってよゆーで卒業できるだろ。さっさとプロ入りしちまえ」

「……それは、無理」

「無理?」


大樹が意外な顔をする。


「優児は、同期のやつらといるのが好きだから」

「仲間が、全日本ユースで優勝するんだって言ってるからね。そっちを置いて、トップには来られない。トップは、トップのひとたちで何とかして。力は貸すから」


一樹と大樹が顔を見合わせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ