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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
5:トップチームデビュー/高3春
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曽根兄弟

曽根一樹:双子の兄。DF。当時、FF所属の代表選手。ユース出身。

曽根大樹:双子の弟。FW。同上。一樹よりやんちゃで口調も軽い。

滝田:FFの敏腕強化部長。元FF選手。

「おー、きたきた。いとしき後輩たちよ!」


似たような顔をしたふたりのうちのひとりが、言うなり両手を広げて、神前をぎゅむっ、と抱きしめた。

もうひとりが、じっ、と赤間のことを見る。

まさか自分も抱きしめられるのだろうか、と赤間がおもったとき。

相手は、そっと近づいてきて、赤間の後頭部に手をまわした。

促す力に抗わず、肩にあごを置く。

胸に、何か、感じたことのない甘いしびれがにじんだ。


「おおっ。滝田さんは、つんつんした生意気な天才だーとか言ってたけど、でっかい仔犬みてーだな。かわいー」


背中でそんな声がしたとおもったら、ぶつかってきた体に押しつぶされる。

双子の間で、赤間はサンドウィッチの具の気分を味わった。

背中側の人間の頭を撫でる手は、妙に荒っぽい。

顔は似ていたが、気性はだいぶちがうようだ。


「おい、そろそろ離せ、大樹。直が退いてないか?」

「ん? あー? 直も俺たちにサンドされたい? どさくさに紛れて、変なとこ触っちまうかもだけど」


冗談めかして笑いながら、おいで、と誘う手を見て、神前が一歩後退る。

ごん、と誘う手の主を、もうひとりが殴った。


「俺と似たような顔で、後輩に退かれるようなこと言うな。というか、せめて言う相手は選べ」

「ふーん? こっちならいいんだ? 赤間優児だっけ。優れた子って意味? 名づけたときは赤ん坊だったんだろうに。すげーな。予知?」

「優しい子、のつもりかもしれないだろ。俺は、曽根一樹かずき。こっちが大樹。一卵性の双子。見分け、つく?」


赤間は、目の前のふたりを見比べた。

背格好も顔のつくりも、みごとにおなじだ。

目印になるようなほくろも傷も、べつにない。

それでも、まなざしはだいぶちがった。


「慎重なのが一樹で、ぶつかっていくのが大樹?」


双子が、磁石のように顔を見合わせる。

一拍おいて、同時に吹き出した。


「かっわいー! でかいくせに、マジ、生意気でクソかわいーったらねーの」


大樹が、赤間の頭をまた、ぐしゃぐしゃと撫でてくる。


「俺、天才って初めて見たけど、こんなかわいい生きものなの? 自分で自分を守ってやらなきゃ食われて死んじゃう、みたいな」

「そうだな。サボテンがつんつん棘でも生やしてるみてー。それにがんがん寄ってくおまえもすごいけどな」

「棘なんて見かけだけだっておまえが証明したんだろ。おとなしく、頭抱かれててさ。マ、ジ、かわいかった! もう、一樹と兄弟やめて、こいつと兄弟になっちゃいたいくらいー」

「あー、直。ちょっと興奮しちまってるけど、頭おかしくねーからな、あれも。ヤバイ先輩だ、とかおもわないでくれ。少なくとも、俺はちがう」

「俺はって何だー! おまえだって俺と似たようなもんだろ!」


怒りながらも、まだ赤間の頭をよしよしと撫でている。

本当に、犬か何かを撫でているようなしぐさだ。



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