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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
4:性衝動/高1
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三人目の『とくべつ』

「そうか……それは、そうかもね」

『優児?』

「だったら、なおさら、俺は一生、マコにこの想いを悟られるわけにはいかないな。好きだなんてことばを、本気にさせるわけには、ぜったいにいかない」

『優児──』

「ありがとう、礼。気をつける。べつに誰を選んだっていいけど、俺だけは、選ばせるわけにはいかないよ」

『男だけは、でしょう?』

「まあね。でも、マコって男に恋い焦がれられるタイプじゃないとおもうから、そっちの心配はあんまりいらないんじゃない? それに、そばにいれば、俺が誘惑でも何でもしてマコから追っ払うし」

『……優児は、ほんとうに、自分のことはどうでもいいのね』

「そうだよ。マコと、あとはうちの妹以外、とくべつなひともとくにいない。俺に言わせれば、妹と、マコ、ふたりもとくべつなひとができただけで、むしろ奇跡的なんだけどさ」

『ふたりいるなら、三人目もできるかもしれないよ?』

「三人目なんていないよ」

『どうして? まだ出会ってないのよ。だったら、わからないじゃない?』

「わかるよ。だって、俺の人生だもん。これ以上、大事におもうひとなんて、べつにいらない」

『だったら、賭けてみる? 優児の人生に、優児にとっての想定外が、起きるのかどうか』


礼のことばに、息を呑む。

礼が言わんとしていることが、赤間にはわかった。


「賭けにならないよ。俺が、大事でもとくべつでもないって、おもっちゃえば済む話なんだから」

『そんなかんたんな話じゃないわ。そんなふうに片付けられるのなら、優児は、マコへの想いに苦しんだりしない。──そうでしょう?』


ぐっ、と赤間は返答に詰まった。

赤間の心をコントロール不可に陥らせるのが、江野誠という男だ。

たしかに、そう──

だからといって、さらにもうひとりのとくべつなど、そんなものはなおさらいらない。


『もしも、またとくべつなひとができたときは、信じてね。きっと、マコと優児がしあわせに、誰よりもしあわせに、結ばれる未来もあるってこと──』


胸に、じわりと広がったのは、ほのかな熱だ。

あるわけがない、そうおもう。

けれど、あって欲しいとも、赤間の心ははっきりと訴えていた。

江野と結ばれる、未来────

ただそれを、赤間が無邪気に頭に思い描くことだけは、不可能だった。



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