表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
4:性衝動/高1
19/60

性(さが)

『それだけじゃないとおもう』

「え?」

『優児が目の届くところにいると、安心なんだとおもう。同室のひととうまくやってるかー、とか気にしてなくていいじゃない。マコはきっと、離れてたって仲間のことを気にかけてるひとだから』

「礼のことも、気にしてる?」

『私はもう、仲間じゃないけど。でも、週に一度はかならずメールをくれるの。どうしてる、元気か、顔見せに来てくれ、なんて。だからね──』


礼が笑った気配がした。


「うん?」

『だからもし、マコに彼女ができても、ヤキモチやいちゃって、それほど長続きはしないとおもう。マコのあの、下心ないやさしさを心から愛せるひとじゃないとね。私だけ見て、っておもうようじゃ、マコとはつき合えないだろうなって』

「とくべつな相手は、ちゃんととくべつ扱いするんじゃないの?」

『どうかな……マコは、自分が好きな相手じゃなく、自分のことを好きだって言う相手を選びそうな気がするから』

「──それは、そうかも」


見えるはずもないのに、電話の向こうに向かって、赤間はしみじみとうなずいた。


「そうだなー。マコは、好きだって言われたら、大して好きじゃない相手とも、つき合っちゃいそうな気がする」

『マコの、性よね』

「困った性だよね。それでそのまま、結婚して、家庭を築くなんて、いちばん下らないけど、マコならいちばんありえそうなパターンかも。マコが選びたいなら何を選んだっていいんだけど……そんなふうになって欲しいわけじゃないんだけどなー」


くすっ、と礼がまた、電話口で笑った。


『私はね。それくらいだったら、優児とくっつく方が、マコは一〇〇倍も、一〇〇〇倍も、しあわせだとおもうけど』

「俺はそうはおもわない」

『マコを、この世でいちばん愛しているのは、優児よ。自分が好きな相手よりも、自分のことを好きだって言う相手をどうせ選ぶのなら、優児を選ぶのがいちばんしあわせに決まってる』

「礼……」

『だって、マコが欲しいのは、自分のぜんぶを受け入れてくれる相手だってことでしょう? 外見とか、自分がドキドキするかよりも、自分の存在に、よろこびを感じてくれるひとがいいってことよ。誰が、優児に敵うっていうの?』


ひんやりと、心が冷えていく。

背中から、ぞっとするような恐怖が這い上がってきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ