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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
4:性衝動/高1
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公平と、少しのとくべつ

「ふふ。ひどいな、礼。俺がマコにそんなこと言うっておもってるんだ?」

『優児は、そういうひとよ。だから、マコには、優児のことばが、嘘かほんとかわからない。好きってことばを、笑いながら言って、本気にさせないのが優児よ。あれほど真剣なマコに、真剣に受け止めさせないなんて、優児にしかできない芸当』

「ちがうよ。マコが、嘘にして欲しいとおもってるんだ。嘘だと思い込める証拠ばかりを見て、真剣さには目を向けようとしないだけ。マコはずるいんだ」

『うそ。そうでいてくれなきゃ、優児が困るんでしょう?』

「……うん。困る。困るな。マコには、一生知らずにいて欲しいから。気づいて欲しいけど、ぜったい、気づかれたくないんだ」

『ふくざつだね』

「俺、マコにはぜったい、最高の男にふさわしく、最高にしあわせになって欲しいからさ」

『優児がしあわせにしてあげたらいいじゃない』

「できるわけない。俺は、マコにとって、最低で、最悪の相手だよ。何があっても、こいつとだけはくっついちゃいけない、っていう相手。まあ、結ばれっこないけどね」

『ふくざつなのは……男同士だから?』


礼の声が、とたんに沈む。


「そうだね。半分くらいは、そうだとおもう」

『魔法のように性別が変えられたら、いいのにね』

「ほんとうに、そうおもう? 俺が女として目の前に現れたら──マコはきっと、俺を見てもくれないんだ。今はサッカーしかいらないって、そのひと言で、記憶からも抹消されてしまうんだよ」

『優児……』

「だから、俺はサッカーをやっていて良かったっておもう。男で、良かったよ。仲間としてなら、マコのいちばん大事なものの一員でいられる。どんなに目障りで嫌っていても、俺のことだって、マコは公平に、区別なく、仲間として扱ってくれるから」

『一員で、いいの? 公平で、うれしいの?』

「──うれしいよ。それ以上なんて、望まない」

『そう……』

「だからこそ、仲間としても見てもらえなくなるようなことはできない。ぜったいに、できないんだ」


そう、ともうひとつ、礼が応じた。


「礼、もう寝る?」

『ううん。優児が起きてたいなら、朝までつき合う。ほんとうは眠った方がいいんだろうけど。優児はきっと、次のトレセンに選ばれようが、選ばれまいが、どうだっていいのよね?』

「うん、そう」

『優児らしい』

「でも、まあ、マコが行くところなら、なるべくいっしょに行きたいな。それにね、いつもとちがうメンバーに囲まれてると、マコがほんの少し、とくべつ扱いしてくれるんだよ」

『とくべつ扱いって?』

「本人、無意識なのかもしれないけど。俺を目で探して、見つけたとたん、ほっとした顔してる。どこで、誰といてもね、俺がどこでどうしてるか、ちゃんと気にかけてくれてるんだ」

『へー。さすが、マコだね』

「俺と同室だって聞いたときも、ほっとした顔してた。初対面のやつといっしょだと、きっと気をつかうんだろうね」



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