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サボテンとクリームコロッケ -二重らせん-  作者: 十七夜
3:三角関係/中3
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退団の日

「優児」


ジュニアユースでの練習の最終日。

別れ際に、礼がそっと赤間に近づいてきた。


「なに?」

「今日、マコが……クラブをやめて仲間じゃなくなったとしても、友だちなのは変わらないから、って言ってくれた」

「そう」

「話したの、優児が?」

「うん。マコにどうしてもって言われて、断われなかった。礼に、そう言うために、俺とキスまでしちゃって。──バカだよねえ。何で、ああなんだろ?」


おどろいた顔をした礼が、くすっ、と笑う。


「すごいな、マコは。その純粋さで、優児に愛される……」

「純粋? ただのカタブツだよ。自分の理想を貫くためには、好きでもない男とキスまでしちゃうんだ」

「それでも、マコが好きでしょう?」

「……何でだろうね」

「何でだろうって、言わせる人間だからだとおもう。優児にもわからない人間だから、マコに惹かれる──ちがう?」

「そうかもしれない」

「…………優児」

「ん?」

「僕は、マコのことが好きな優児が、とても好き」

「うん。ありがと」

「──知ってた?」

「知ってた」

「そっか。やっぱり、そうか。……そんな気は、してた。だから僕じゃ、優児のいちばんにも、とくべつにも、決してなれない──」

「うん、そう。ごめんね」


礼は、泣きそうな顔で、それでもほほえんだ。


「それでも、マコのことは好き──そんな優児のことが、僕は好きだな」

「マコのことが好きで、じたばたしてる俺がいいの?」

「だって、マコのことが好きじゃなきゃ、僕たちに接点なんてなかった。でしょう?」

「そうか。そうだね」


うなずいて、それから赤間は礼の名を呼んだ。


「もう、無理することないよ。僕なんて、自分を呼ばなくたっていい。自然なすがたに返りなよ。味方は少ないかもしれないけど、ゼロじゃないから」

「うん……、ありがとう、優児」

「ここにでも、どこにでも、いつでも好きな格好で会いにおいで。マコも──きっとなるべく、おどろいた顔はしないでくれるとおもうよ」

「ふ、ふふっ…………どんな顔、するんだろう。ちょっと見てみたいな」

「ああ。礼のおかげで、マコのあぜんとした顔が見れたんだ。あれは、かわいかったなー。キスして赤くなってるのも、かなりかわいかったけどね」

「マコをかわいいなんて言うの、優児くらいだね」

「マコはさ、きっとこれからどんどんかっこよくなるよ。世界一、いい男になるとおもう」


礼は、謎めいた微笑を浮かべた。

自分なんかに恋をしていたって仕方ないと、赤間が言わんとしているのが伝わったのだろう。

でも、礼はうなずかなかった。


「──いつか優児を選んだら、そう認める」

「えー……」

「優児は追いつづけて。好きなだけ、マコを。こちらなんか、振り返らなくたっていいから」

「でも、まあ、話し相手くらいにはなってくれる?」

「うん。ふたりの、友だちとして……ね?」


ふわりとほほえんで、礼は去って行った。



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