対抗魔法の意味もわからない
2014/08/31 投稿
数日後の放課後。第二生徒会あるいは第二生徒会部なのかは知らないが、とにかくその部への入部届を持って顧問だという人に渡すべく職員室。適当にいる人に名前を尋ねたところ容易に発見できて手渡せたが、少し気になる話を聞いた。その場で解決できる問題じゃなかったので、さっさと戻って晴れて部の部室に関係者として入る。
「なぁ愛崎。秘技的魔法研究部ってのは、何のことだ」
「顧問の阿木先生が付けた第二生徒会の別名だよ。通称ヒマ部」
つまりはそういうことなんだろう。活動実態がないのはわかっていたことだが……ヒマ部ってなんだよ。しかも名付けお前じゃねぇのかよ、顧問かよ!
「あの、神崎くん。ちょっといい?」
「祐希でいいよ。中町さん。で、なに?」
一見すると黒髪清楚系の彼女は中町涼子。一ヶ月と少し前に編入した女子生徒。友人の智勇に聞いたが、容姿が良いこともあって男子からの人気はあるようだ。あまり人気者をジロジロと見るものあれなので、これくらいにしておくことにしよう。
「対抗魔法を教えてほしい」
「俺、まだ魔法を知って、一週間と少しなんだけど」
「私は小さい頃から知ってる。十五年くらい。でも祐希の方が詳しいかも」
「それはない」
ここは断言しておく。俺は、俺の持つ一冊の本に書かれている魔法の知識については、確かに心得ているが魔法について詳しくはない。
「どうして」
「だって、対抗魔法の意味もわからないんだぞ?」
「対抗魔法は一定の魔法を無力にする魔法。使い方は難しい。数もたくさんある。でも祐希はその一つの使い方を知ってるはず。和佳の魔法を無力にした」
中町さんはそう言うが、俺は対抗魔法なんて知らない。
「あれは対抗魔法なんて代物じゃない。魔法を感知するのを発動しておいて、識別系ので大体の効力を読み取って、対応できそうな魔法を被せただけだ」
「そうなの……残念」
露骨に言葉通りの残念そうな様子。そんな顔をされると、どうして良いのかわからないんだが。
「話終わったなら、奥の本棚にあるの勝手に読んでいいよ」
愛崎にそう言われたので、その本棚の前まで来てみて驚いた。どの本にも題名が書かれていない。数個ほど取り出して目を通すと、単純に知識だけを書いたものや日記のようなものもある。どれも魔法について書かれている。
一般的には偽書とされてもおかしくない内容だが、事実であるかどうかはさておき、俺のような魔法という不思議を目にしてしまった者にとってはありがたい。
「あれには載ってなかったな」
そう思って新しく開いた一冊の本。一際目を引く厚みのあり、外は黒く塗られ、シンプルなデザインだけが施されていた。そして最後のページに書かれていた著者であろう名前。
そこには英語でアリス・カイテラー。そう綺麗な字で書かれていた。
間に合わせました。あと新章です?(笑)