図書館デートしたもんね
2014/10/17 投稿
図書館の天窓から夕日の赤い空が、昼の終わりを告げている。疎らに人が残っているが、昼時よりは確実に少なくなっている。愛崎礼音と共にこの場を後しようと、少ない荷物をまとめる。
「今日は何か長かった気がするよ」
「それは同感だが、結局はお前何者なんだ」
風里家当主。そういえば、また名前を聞き忘れたが、彼女が言うには愛崎礼音は、風里家ではそれなりの立場があるらしい。
「さっき第二生徒会代表から、祐希の技術協力者になったね」
先ほどの話。俺の技術向上は危険視するべきであるが、この先の未来、絶対に必要になる。つまりは、風里家の手助けを貰ったことを、忘れるなよってことだ。
「協力者とか、別にいらないんだけどな」
「祐希が私を打ち負かしたりするからだよ」
「文化祭のことか」
「あの時から、祐希はあの人、公認の優等生になったんだよ。だから、私がサポートに入れられるわけ」
「お前もしかして、傭兵みたいな立場だったりするのか?」
「傭兵にこんな仕事任せないでしょ」
立場はあるんだな。それも傭兵か、それ以上に。
「そんなことよりさ、祐希。魔法作れるだったら、伝説の剣とか創ってみようよ」
「物体生成は、まだできない」
「えー、楽しみにしてたのになー」
日が落ちるのを待たずに、愛崎と別れて家に着く。本当に長い一日だった。でも何故図書館だったんだろう。
そして何事もなく花の金曜日。そうここまでは何もなかった。
「ねぇ祐希、明日は暇かな?」
「別に予定はない」
第二生徒会は今日も全員が揃っており、何か休みに出てくるようにと言われる、と誰もが思っていただろう。
「うん。なら明日、祐希の家行くね」
「「「え」」」
「…………え?」
「ん?」
こんなことを彼女が言い出すまでは、平穏そのものだった。まぁ平穏とは呼べない自体がこの前あったばかりであるが。
「目的は何だ。盗みか」
「ちょっと私の印象悪すぎないかな」
よく考えると、技術協力者として何か話でもあったのかも知れない。
「八千。どう思う?」
「お似合いだと思います」
「私も青山さんと同意見ですが、礼音とはそういう関係だったのですか」
女子というのは、話をややこしい方向に持っていく天才だと思う。
「そういう関係だったら、こんなところに来ないで、デートでも行ってるだろ」
「図書館デートしたもんね」
お前は、何を言い出してるんだァ…………
「そのお陰で、命の危機に晒されたけどな!」
この場を何とか事情を説明せずに収め、愛崎に事情を説明させた。俺には、どこまで説明していいのか不明だからだ。
女性関係が複雑な人というのは大変でしょうね




