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ある日、俺は軽い気持ちで何かと契約してしまいました…………(-_-)/  作者: ハイレン・ガーシュエシオン
とある説では、彼は兵器開発者だったと言われている
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バレーボールは舞い踊る

2014/10/05 投稿

 午後になり、魔法技能選手権の後半が始まった。俺は待機場所で、今日の使う道具を用意している。別に何を持ち込んではいけないという規則もなかったようなので、エアガンとバレーボールを八個ほど事前に準備しておいたのだ。

「バレーボール。何に使うの?」

 誰かに聞かれると思ったいたが、待機場所に居合わせた中町さんに問われた。八個のバレーボールが入っただけの籠を、真面目にジロジロと見ている。

「まぁ見てろって」

 午後の部に勝ち上がったのは、八人。俺、愛崎礼音、風里和佳、中町涼子、青山八千、それに二年生の先輩が三人。結果的に、第二生徒会の面々は後半戦の準備に追われている。ちなみに先ほどの第一試合で、愛崎が二年生の一人の腹に拳をいれて一撃で終わらせたことで、体育祭よりは酷い格闘技大会でも始まったのかと思われたらしく、多くの観衆が集まっている。

 籠とエアガンを持って、第二試合に出場者としてグラウンドに向かう。

「どうしてボールを持ってるんですか?」

 第二試合は、神崎祐希vs風里和佳。彼女がどんな魔法で仕掛けてくるのかは予想もつかないが、俺は力で押し切る。

「祐希さ、球技大会と勘違いしてない?」

「良いから始めてくれ、愛崎」

 不思議そうな顔をしているが、そのうち意味がわかるだろう。

 彼女のカウントダウンに合わせて、起動式を頭に思い浮かべる。ハルートとマルートの準備も整った。

「3、2、1、スタート!」

 合図と同時にバレーボールの入った籠を倒す。転がるボールを、エアガンから発射される魔法弾で全て打ち抜く。するとボールは、ふわふわと宙を舞って漂い続ける。

「さぁ、行くぞ」

 ボールは個々に複雑な軌道で、少女に向かって風を切る。

「な、なんですか、これは」

 これが遠隔操作の魔法であるということは、彼女も分かっているだろう。物体を起動式で指定することで、ある程度までの制御を可能にする。それに脳から直接的に命令する、という魔法を追加した。これによって、ボールは複雑な軌道を描き、さらに同時に操作しているような印象を与える。

「どんな動きをしたところで、所詮はバレーボールです。こんな子供騙しは私には効きません」

 いつの間にか、殴る、蹴る、弾き落とすなどの方法で無力化された。この魔法は未完成であり、軌道を逸れてしまった物体には改めて命令する必要があるため、リアルタイムでの制御は現在不可能である。

「終わりだ」

 マルートの銃口を彼女の額の寸前に持ってくる。風里さんがボールと格闘している間に、魔法で彼女の認識から外れ、落ち着くまで近くに待機していた。

「それは玩具(おもちゃ)ですよね?」

「あぁ、風里さんの頭が吹っ飛ぶくらいに、危ない玩具だ」

 全く撃つつもりはないが、もしここでトリガーを引こうものなら、大惨事は免れないだろう。

「もしかして魔法銃なのですか」

「魔法を弾としては撃てない。でも、ある程度の威力と魔法妨害の効力はある」

「あなたは簡単に言いますが、それは誰も作ったことのない強力な武器で何ですよ?」

 そう言いながら、彼女は両手を上げる。

「欲しかったら、通販で頼めばいいぞ。ケースを含めても、金額は五桁もいかない」

 閉鎖空間が外側から解除され、試合が正式に終わった。バレーボールを魔法で籠に入れ、その籠を回収して風里と共にグラウンドを校舎に向かって歩く。

「随分とリーズナブルなようですが、私は欲しいとは思いません」

「ちなみにだけど、どうして?」

「バレーボールを狙った時、あなたが玩具に使っていた魔法は、終わり際には別の魔法に変わっていました。私には、一度に二桁の数の魔法を起動し続ける技術はありません」

 それに気づいたことに、素直に俺は驚く。さすがはあの女性の娘ということなんだろうか。そんな素振りは一瞬も見せなかったが、カラクリを暴いたという。

 今になって考えてみれば、第二生徒会には青山八千以外に、本当の感情を表に押し出してくる人間がいない。…………非常に寂しい集まりである。

この章は長くなりそうですのん|д゜)

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