見えだした才の差
2014/10/03 投稿
中間の結果が次々と明らかになり、何人かが沈んでいる頃に文化祭は前日を迎える。前日に行われる開会式の後、愛崎礼音によって異例の出し物の参加が体育館に集められた。
「結構いるよな」
「確かに多いです」
魔法は素質ある人間のみが使うことができる。それが極限られた人間であるはずがない。青山八千は魔法使いとしての素質はあまりない。俺は“魔力”と呼んでいるが、これの保有量が少ないということだ。
「…………」
見回してみると、全学年から人が集まっているように見える。その最終的に集まった参加は、ちょうど八十人ほどだった。愛崎もさすがにこの人数は予想してなかったようで、急に予選をする必要が出てきたのだ。
「集まったようだから始める。今回の企画を監督する阿木だ。個々に参加条件は、愛崎から聞いてると思う。ここにいる者は、前半種目のターゲットのルールはわかっているな。それでは、これから予選を行う」
第一魔法技能選手権予選のルールは、五メートル離れた場所に用意された三つの机にあるバレーボールを机から落とすだけ、その早さと一斉に落とした数から点数化する。
「本当に魔法を使えるやつが、集まってる」
第二生徒会の面々を見れば、非常にレベルの低い争いに見える。だが確実に、彼らは魔法を使っている。その多くは俺の知らない魔法ばかりだ。
「あなたのような才能のある人間には、下手な未熟者ばかりに見えるのでしょうが、あれでも何人かは熟練した魔法使いなんですよ」
「どうやって見分けてるんだ?」
「見分けているわけではありません。あの中には、風里家の魔法使いを育成する活動に参加している人が居るだけです」
今の今まで失念していたが、彼女の家は代々魔法使いである。その筋では有名な名家と言ったところだろう。
「そういうことか」
予選は中盤になり、第二生徒会は愛崎を含めた全員が、最高点数に近い点数を記録した。全員とは言うが、最後は俺だ。ハルート&マルートを使おうと思ったが、一斉に落とすという条件があったので、炎を発生させる空間干渉系統の魔法を使う。
「3、2、1……」
愛崎がカウントを数える。起動式を頭に思い浮かべ、炎を発生させ、形状を輪のような円い形を、三つ出現させるように準備する。
「はじめ!」
出現させた三つ輪を即座にターゲットに合わせ、一気に魔力を集中させて強い空気を放つ。ボールが地面に落ちるのは、一瞬後の出来事だ。
予選の結果。当日の出場者は、三十人に絞られた。この様子では、青山さんを除いた第二生徒会メンバーが勝ち上がるのは確実だ。
「これじゃ、出来レースと変わらないんじゃないのか」
「確かにそうかも知れません。どんなルールにしろ、礼音を打ち負かせる魔法使いは、早々いないでしょうから」
あいつは何なんだと毎日思っていたが、ここまで来るとむしろ何も考えてないんじゃないかとさえ思う。
愛崎は一体、何を考えているんだろうか。
新兵器の登場は間近です。




