あぁー、なるほどな
2014/10/02 投稿
本学では体育祭が終わると中間テストがあり、中間テストが終わると文化祭がある。基本的に自由な校風であるため、自由度の高い文化祭は例年賑わうらしい。
「この問題は、どうやって解くんですか?」
これまでテストの度に、結果が向上している第二生徒会の勉強苦手組の二人。ちなみに同学年である青山さんは、特に成績は悪いわけでもないので、心配するほどのことはない。
「解くってレベルか、それは」
復習も兼ねて勉強会の真っ最中である第二生徒会。愛崎が青山さんを含めた三人に教えている。地味に突っ込みながら、俺はというと例のごとく愛崎礼音作成の難解問題を解いて、暇を潰している。相変わらず数問の癖に難しい。
「って、おい待て、これよく見たら、リーマン予想じゃねぇか」
「祐希、よく知ってるね。早く証明してよ」
「いやいや、数学者でもない俺に、ミレニアム問題が解けるわけないし」
「え、祐希って、万能だと思ってたよ」
ワザと言ってるとわかっていても、どこをどう見て判断したのか問いただしたくなる。
「まぁそれは良いが、文化祭は何かするのか?」
基本的に第二生徒会の活動は、愛崎礼音の気分次第である。彼女の気分がのらない日は、つまりヒマ部と化すこととなる。
「第一回魔法技能選手権」
「は?」
俺の耳がおかしくなったのか、愛崎の口が暴走している。冗談だろう、と彼女以外の誰もが思った。
「全校生徒から参加者を募って、グラウンドで丸一日使う予定だね」
「冗談も程々にしとけ」
「冗談じゃないよ、祐希。ほら、もう二十人も集まってるんだよ?」
彼女が指差す場所に、エントリー用紙があり、全学年から数人ずつ参加者がいる。
「この企画は良いのか?」
「阿木先生に許可は貰ったよ」
横目に中町さんと風里さんを見ると、呆気にとられたままの様子で硬直している。その他一人は、せっせとエントリー用紙に記入している。
「礼音。本気なの?」
「そうです、礼音。文化祭当日には、うちの関係者も来るんですよ」
「だから良いんだよ」
彼女らの必死の叫びも、愛崎礼音の一言でかき消される。
「何が目的なんだ」
「和佳には悪いんだけど、私ね、和佳のお母さん嫌いなの」
「あぁー、なるほどな」
風里さんのお母さんと言えば、風里家当主……そして名前を聞き忘れたことに気づく。人間とは思えない雰囲気を持つ女性で、どんな目的を持って行動しているのか不明であり、裏の表情をあらゆる形で見せない。よく考えてみると、タイプ的には愛崎礼音に似ている。
「八千はもう書いちゃっているけど、みんなも書いてね。それじゃ種目説明するね」
彼女の説明が珍しくしっかりしていて、長かったのでまとめると。基本的にターゲット破壊で、一定数をどれだけ早く破壊するかである。
「あとね。午後から勝ち残った魔法使い同士で、直接対決してもらう」
「直接って、ターゲットを奪い合うのか?」
「そうじゃなくてね、対人戦」
そんなトンデモ発言をしながら、ニヤリと楽しそうに笑う。
「ルールは?」
「ターゲット破壊が終わったら、説明も兼ねて、エキシビションマッチする予定だけどね、知りたい?」
当日に説明があるなら、別に今聞いておく必要もないだろう。しかし気にあることは聞いておきたい。
「一人は愛崎だよな?」
彼女は首を縦に振る。発案者が参加していなければ、おかしなことになるので当然だ。
「相手は誰だ?」
「阿木先生」
「……………………はい?」
明日は長くなりそうですヽ(´Д`;)ノ




