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ある日、俺は軽い気持ちで何かと契約してしまいました…………(-_-)/  作者: ハイレン・ガーシュエシオン
とある説では、彼は兵器開発者だったと言われている
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ある年の体育祭の怪談

2014/10/01 投稿

 今回の体育祭の小道具は、全て第二生徒会が作った。つまりどんな人を連れて来いという指令があるのかは、引く前から大よその検討がついている。

「俺は難しいことは書いてないけど、中町さんはどんなのを書いたんだ」

 実行委員席から始まるのを待っている。

「私も別に。難しいこと。書いてない」

「そうか」

 しばらくして一年生が一斉にスタートする。半周は普通の競争だが、残り半周は置かれている紙に書かれた指定の人物と走る。問題が発生したのはこの時だった。

「な、なんだよこれ」

「こっちもどうなってんだ」

 俺たちは明らかに問題が発生した様子だったので、とりあえず出場者のところまで駆け寄って事情をしようとした。しかし途中で腕を掴まれる。

「なんだ、愛崎」

「実行委員の一年生でしょ?」

 彼女の持つ紙を見ると、そう書かれていた。…………英語で。

「誰だ、これを書いたやつは」

 手を引かれてコースを走りながら聞いてみる。

「この字は涼子だね」

 終わってから指示の紙を確認してみると、全て英語で書かれていた。幸いにも簡単な文章で、落ち着けば高校生にはわかって当然だ。学年ごとに分担して作ったが、中町さんのような発想は俺にはなかった。

 続いて二年生。これは俺が担当した学年である。当たり前に何の問題もなくスムーズに進んで、終わった。騒動を見ていた先輩たちは、どんな指示があるのかとヒヤヒヤしていたが、拍子抜けするほど普通のレースだ。少し捻っておけば良かったと後悔したが、本来はこれで良いのだ。

 さらに三年生。風里さんの担当だが、俺も中町さんもこれは知っている。何やら珍しくパソコンを使って作っていたからだ。

「写真の人を探す。よく考えたよな」

「普通だと面白くないと思いましたので」

「当日に居る人をピックアップしたのか?」

 指示書を制作したのは二日前だ。高確率で多くの人間が集まるが、例え生徒でも絶対に登校してくるというわけでもない。

「実は、紙とほぼ同じ色で魔法の起動式を印刷しました。始まる前に私が起動して、適当な人を入れておいたので、居ないということはないはずです」

「だから、さっきまで居なかったのか」

 第二生徒会だからこそ出来た、と言って間違いないだろう。どんな魔法を使ったのかはわからない。が、この年の体育祭の借り人競争三年生レースは、後に学校の怪談に加わることになる。

 大胆で面白い発想だったと当初は思われていたが、よく考えてみると方法がわからず、実行委員も本来の仕事を第二生徒会に作業を丸投げしていたとは言えず、結局謎を残したままになってしまい。体育祭の翌日、借り人に指定された生徒の数人が、体調を崩して休んでしまったことも引き金になった。

 こうして、第二生徒会は人知れず、学校の怪談を一つ作ったのだった。

皆さんの知っている学校には怪談はありますか。

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