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ある日、俺は軽い気持ちで何かと契約してしまいました…………(-_-)/  作者: ハイレン・ガーシュエシオン
とある説では、彼は兵器開発者だったと言われている
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魔法の前提にある条件

2014/09/26 投稿

 夏の茹だるような暑さには耐えかねてはいたが、まだ蒸し暑いにも関わらず二学期は訪れる。

「暑い」

「わかりきったこと言ってんじゃねぇ」

 久しぶりに会った友人と交わした最初の会話にも、夏の暑さが絡んでくる。

「私は暑すぎて宿題持ってくるの忘れちゃった」

 夏休み中に死ぬほど顔を合わせていた愛崎だが、教室で見るのは一学期の終わり以降はなかった。

「暑いのは関係ないと思うけどな」

「私にとって暑さは唯一の弱点なんだよね」

 どこから見て弱点と言っているのかは知らないが、意味不明であることには変わりない。

 放課後に第二生徒会に出向くと、愛崎の魔法創造計画に付き合わされることになったのだが、どうしたら良いのか……

「何を目的に活動するんだ?」

「新時代の魔法を確立するんだよ!」

 なんだか宗教活動で聞いたような話だな、とか思いながらも真面目に話に耳を傾けていた。どうやら本格的に宗教活動をするわけではないが、新時代の魔法を確立したいというのは本当のようだ。

「つまり電子機器を使った魔法の発動ってことか」

「電波に乗せたら、凄いこと出来そうだよね」

「礼音の言う魔法は可能性に溢れています。しかし実現するには、起動式を一から創り直さなくては、いけないのではないでしょうか?」

 電子メールで魔法の起動式を試してみたことのない人間は、今この第二生徒会の面々には、青山さんを含めてもいないだろう。皆等しく失敗を経験している。

「私も、そう思う」

「同じくです」

「そうでもないんじゃないか」

 今までは、何言ってるんだこいつは、みたいな視線を向けられていたのだが、例の事件以降は誰もそんなことをしなくなっていた。嬉しい半面、慣れないことに若干緊張したりもする。

「起動式そのものは、実際に紙に書いても条件を整えなきゃ意味がない。問題なのは発動条件が揃ってないことじゃないのか?」

「でもね。何度か魔法発動の条件を整えて試してみたけど、全く何も起こらなかったよ」

「多分だけど、愛崎はいつも通りに条件を揃えたんだろう。でも俺たちがいつも使う魔法は前提条件がある」

「前提条件?」

 青山さんだけがわからないのかと思ったが、見回すと誰も同じ顔をしていた。

「前提条件。なに?」

「魔法を発動させてる魔法使いがいるってことだよ」

 それに愛崎礼音だけが納得したようで。

「言われてみれば、確かにそうだよね。魔法使いが力を供給しないと、魔法を維持できないし」

「その問題をどうにか出来ればいけそうな気がする」

 あまり気にしてはいなかったが、どうやら俺は自分の頭の思考速度に認識が間に合っていない気がする。口から言ったことを後から自分で理解する傾向にあるのかも知れない。

「具体的には、どうしたら良いんですか?」

 そして何故かこういう時は、胸を張って答えたくなる。

「知らない」

「「「「え」」」」

当たり前すぎることって、たまに気づかないことありますよね。

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